研究課題/領域番号 |
16K18331
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
Jiang Fei 山口大学, 創成科学研究科, 助教 (60734358)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | デジタルロック / EOR / 多孔質媒体シミュレーション |
研究実績の概要 |
革新的な流体計算手法である格子ボルツマン法(LBM:Lattice Boltzmann Method)を基礎に、超大規模実岩石X線CTモデルでCO2-油-水三相システムの流体シミュレーションを行った。岩石CT断面図から、間隙サイズ、均一性を分析し、画像処理技術によって間隙形状が明確に分かるように最適化することによって、岩石 3 次元形状モデルを再構築した。計算高速化するため、GPGPU(General Purpose Graphics Processing Unit)並列計算技術を利用し、開発したコードをスーパーコンピュータに実装した。高解像度且つ高効率の三相流計算モデル及び大規模デジタルロックシミュレーターを開発することで、実験では時間的・コスト面から実現が困難あるいは不可能な条件下の CO2-EOR(CO2圧入による石油回収率増進技術)シナリオを容易に再現することができた。三相流の界面張力、粘性及び岩石の濡れ性などのパラメータが岩石間隙内の複雑流れの挙動に大きい影響を与えるため、これらのパラメータを調整し、CO2-EORにおける原油の生産排出過程のシミュレーションを行った。また、実の岩石空隙スケールレベルでの流れ計算によって、三相浸透率を正確に推定することに成功した。得られた結果を従来のマクロモデル(貯留層シミュレーター)に組み込み、より正確且つ信頼性の高い情報をCO2-EORプロジェクト評価に提供できる。CO2-EOR のメカニズムの更なる解明に貢献できる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
格子ボルツマン法三相流動モデルの開発及び検証はすでに完成できた。多相分離、ラプラース法則、接触角などの検証シミュレーションを行って、計算精度を確認した。多孔質媒体内における超臨界CO2ー水ー油が共存した流体挙動のモデリングが成功した。また、GPUを用いて開発した三相流シミュレーターを高速化及び大規模化することができた。 以上のことから本研究はおおむね順調に進展していると判断している.
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今後の研究の推進方策 |
開発した三相シミュレーション手法をCO2-EORのメカニズムの更なる解明及び回収率評価に応用する。三相流体挙動が界面張力・粘性・濡れ性の依存性を調べ、飽和度、トラップ現象及び相対浸透率の変化など評価し、原油回収率向上する手段を検討する。回収率を向上するための最適なパラメータを割り出すことに試みる。
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次年度使用額が生じた理由 |
参加する予定の国際学会が都合により出席できなかったため、その分の旅費が次年度に使用する予定です。
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次年度使用額の使用計画 |
研究成果を学会で発表するための旅費に当てる
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