研究課題/領域番号 |
16K18334
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
植木 祥高 大阪大学, 工学研究科, 助教 (50731957)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 液体金属 / 超音波計測 / 濡れ性 / 界面現象 |
研究実績の概要 |
液体増殖材の候補であるリチウム鉛(PbLi)を用いた際の強磁場下熱流動現象の詳細な理解が未だ十分でないことが現状として挙げられる.本研究においてはPbLi流れに唯一適用可能である流速分布計測法である超音波ドップラー流速分布計測(UDV)系をPbLi流動ループに構築して炉内模擬環境下での熱流動場の定量的評価を実現することを最終的な目標としている.本年度はPbLiを主として高温液体金属を対象としたUDVの計測条件について調査を行った. PbLiは酸素をはじめとして種々の物質に対し化学活性を有する高温の液体金属である.化学反応を伴う界面現象が超音波計測にも影響することがこれまでの研究により明らかとなっている.PbLiにおいては,計測に充分な超音波透過を得るために最適な超音波プローブの導入方法を検討した.その結果,PbLiにおいてはプローブ表面に微粒子の付着を防止するため予め清浄なPbLiを凝固させた後に液体金属と接触させることで,超音波透過が改善することが確認された. また,還元力の異なる液体金属SnとPbSnを対照試料として超音波透過性能を評価し,高温液体金属の濡れ性と超音波透過の関係について調査を行った.その結果,超音波透過界面の形成には,(1) 液体金属内で酸化膜が除去され透過が生じる,(2) プローブ接液材が液体金属に溶出し音響特性が向上する,という2段階の過程が存在することが示唆された.固液界面における超音波透過機構の詳細が明らかとなってきており,不純物管理と超音波プローブ導入方法を改善することにより流動ループ環境における超音波ドップラー流速計測に不可欠な環境および条件が明らかとなった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計測に不可欠な環境および条件が明らかにしており,概ね順調に進展している.
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今後の研究の推進方策 |
超音波計測に不可欠な高温液体金属界面における超音波透過を決める支配因子の調査と制御を行う.その成果に基づいて,流速分布計測を行い,計測特性ならびに精度評価を行なう.
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