研究課題/領域番号 |
16K18335
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
佐々木 真 九州大学, 応用力学研究所, 助教 (70575919)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | プラズマ乱流 / 非線形過程 / 構造形成 / ドリフト波 / ダンジェロモード / 帯状流 |
研究実績の概要 |
本研究では、磁場方向流れ場及び磁場と垂直方向の流れとの干渉を担う基礎過程を明らかにする事を目標とする。本年度は、(1) 直線プラズマにおける乱流シミュレーションコードに対し、磁場と垂直及び平行方向の流れ場を取り込む拡張を行う。(2) トロイダルプラズマにおける磁場に垂直方向の流れである振動帯状流(GAM)の磁場方向流れへの影響を明らかにする、等の問題を設定した。 具体的な成果として、次のような進展を得た。(1) 直線プラズマにおける乱流シミュレーションコードに平行方向流れ場を取り込む拡張を行った。磁場に平行方向の運動量ソースを与える事で、流れシアを形成し、流れシアによる不安定性(ダンジェロモード)の非線形飽和状態を得る事に成功した。複数種の乱流を自己無撞着に扱う事が可能になり、垂直流れ場と平行流れ場の干渉を解析する基礎を得る事が出来た。(2) 高速イオン駆動GAMの新たなブランチを発見し[Sasaki, Phys. Plasmas, 2016]、そのブランチが効率的にトロイダル運動量輸送を担う事を明らかにした[Sasaki, Nucl. Fusion 2017]。新たに発見されたGAMブランチは高エネルギー粒子の垂直運動との共鳴で駆動され、その固有関数はポロイダル方向に急峻なbump構造を持つ。このbump構造は、ポロイダル断面における上下反対称性を破るため、効果的にトロイダル運動量輸送を生み出す。生み出される運動量輸送は、従来、乱流が担うとされている残留応力から算出される運動量輸送に匹敵する大きさを持ちうる。このように、磁場に垂直な流れ場を持つGAMは、高エネルギー粒子を介して、磁場方向流れ場と結合する事が分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の個別目標に対し、成果があがっている。すなわち、磁場に垂直・平行方向の流れ場間の干渉を解析する乱流シミュレーションコードの開発に成功した。さらにトロイダルプラズマにおける振動する垂直流れ場が高エネルギー粒子を介在とし、平行方向流れ場を駆動する力を持ちうる事が分かった。これらの成果を踏まえ、当初の目標に対し、おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
本年度開発した乱流シミュレーションコードを用い、抵抗性ドリフト波及びダンジェロモード間の競合過程を明らかにし、流れ場の形成との関連を明らかにする。高エネルギー粒子駆動GAMと乱流との相互作用を調査する。得られた成果は国際会議等で発信していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
論文の投稿料として予算を残していた。本年度中に受理されなかったため、次年度論文が受理された際に使用する予定である。
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次年度使用額の使用計画 |
現在投稿中の論文の投稿料として使用する。
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