研究課題/領域番号 |
16K18337
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
西村 征也 法政大学, 理工学部, 准教授 (70548544)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 磁場閉じ込め核融合プラズマ / 強制磁気再結合 / 共鳴磁場摂動 / インターチェンジモード / 新古典テアリングモード / 簡約化MHDシミュレーション |
研究実績の概要 |
核融合プラズマの制御において、共鳴磁場摂動によって駆動される強制磁気再結合とその結果生じる磁気島は重要な役割を演じている。本研究は、共鳴磁場摂動と圧力駆動型不安定性が共存する場合に、磁気島がどのように非線形発展するか、磁気島が圧力駆動型不安定性にどのような影響を与えるか、について調べることを目的とするものである。前年度の研究においては、主に簡約化MHD方程式を解くシミュレーションコードの開発を行い、共鳴磁場摂動とインターチェンジモードの共存状態についてシミュレーションを行い、Glasser効果によって強制磁気再結合が促進されるという結果を得た。 本年度は、はじめに、乱流状態にあるインターチェンジモードが強制磁気再結合に及ぼす影響について調べた。インターチェンジモードが高波数側で不安定になるような条件でシミュレーションを行った。しかし、高波数側のモードは期待したような強制磁気再結合の促進を起こさず、結局、前年度に調べたGlasser効果が最も重要であるとの結論に至った。 次に、シミュレーションモデルに摂動ブートストラップ電流を加え、圧力駆動型モードとして新古典テアリングモードを考えた。新古典テアリングモードが安定なパラメータを選択し、共鳴磁場摂動との共存状態についてシミュレーションを行った。その結果、強制磁気再結合が磁気島を形成するのと同時に、新古典テアリングモードが不安定化し、磁気島の飽和幅が大きく増大することが観察された。この結果を受けて修正ラザフォード方程式を用いた理論解析を行った結果、共鳴磁場摂動が存在することにより新古典テアリングモードの不安定領域が拡大することが明らかになった。このような現象は、本研究において初めて見出されたものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
共鳴磁場摂動とインターチェンジモード乱流の共存状態に関しては、インパクトのある結果は得られなかったが、少なくともインターチェンジモードの高波数側の不安定性が強制磁気再結合に直接影響を与えることはないことが確認された。本年度は新たに、共鳴磁場摂動と新古典テアリングモードの共存状態の研究に着手した。初期的な成果として、共鳴磁場摂動が新古典テアリングモードを不安定化させる機構が存在することが新たに見出された。以上のように、共鳴磁場摂動に対する物理的な理解を深めるという研究計画の趣旨に沿って着実に研究が進められている。
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今後の研究の推進方策 |
従来の研究においては、新古典テアリングモードによって発生した磁気島の回転が共鳴磁場摂動によってロックされる現象について重点的に研究が進められてきた。しかし、今年度に実施したシミュレーションで観察されたような、「生まれつき」ロックされた新古典テアリングモード由来の磁気島が励起される現象についてはほとんど研究が行われていない。トカマクにおいては、大きな磁気島のロッキングはディスラプションを誘発するため、ロッキングを回避する研究が進められている。しかし、大きな磁気島がロックされた状態で励起されるということは、ロッキングを回避する時間がないということを意味しており、その発生過程を理論的によく調べて実験研究にフィードバックする必要がある。 今後は、大きな磁気島がロックされた状態で励起される機構に関して研究を進める。装置に内在する誤差磁場の程度に小さな共鳴磁場摂動が存在するような状況や、新古典テアリングモードが非線形不安定性を示すような状況までパラメータサーベイの範囲を広げ、どのような条件下でこの現象が発生するかを調べる予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初計画していた海外学会発表を取りやめたことにより、未使用分が生じた。これについては、次年度の予算と合わせて出張旅費等として執行する予定である。
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