研究実績の概要 |
本研究は、ベタイン型ポリマーの硝酸水溶液中の白金族元素(Ru, Rh, Pd)に関する吸着挙動の評価及び、その応用としてクロマトグラフィー法を用いた硝酸水溶液からの白金族元素分離回収法の提案を目的としている。 平成29度としては、ベタイン型ポリマーの硝酸水溶液中の白金族元素に関する吸着挙動の温度依存性について検討を行った。具体的にはベタイン型ポリマーと3種の白金族元素を含む硝酸水溶液(0.1-3 M)を6.5~60度の温度で混合し、混合前後の水溶液中の金属イオンの変化から吸着率を算出した。その結果、Ru(III)に関しては、実験した温度領域及び硝酸濃度で温度上昇に伴う吸着率の増加を確認した。一方、Rh(III)に関しては、硝酸濃度1 M 以上で若干の吸着率の上昇が起こった。Pd(II)に関しては、温度依存性は確認できなかった。 そこで、Ruの温度上昇による吸着率増大現象を明らかにするために、異なる温度条件での振とうしたRuを含む0.1 M及び3.0 M 硝酸溶液及びそれらの溶液からRuを吸着させた樹脂のRu K edge XAFSを測定した。その結果、溶液及び樹脂中で共に温度上昇に伴うRuの構造の変化は確認できなかった。したがって、温度上昇によるRuの吸着率増大は、Ru吸着反応の速度上昇によるものと予想される。錯化剤については、白金族元素の吸着のマスキング試験から検討し、チオ尿素でもっとも吸着率の減衰が確認された。
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