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2016 年度 実施状況報告書

核磁気共鳴を利用した液相での同位体遠心分離その場観察

研究課題

研究課題/領域番号 16K18353
研究機関国立研究開発法人日本原子力研究開発機構

研究代表者

緒方 裕大  国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 先端基礎研究センター, 博士研究員 (80757691)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2018-03-31
キーワード核磁気共鳴 / 遠心分離 / 液相 / 同位体
研究実績の概要

核磁気共鳴(NMR)を用いた液相での同位体遠心分離をその場観察する取り組みを行っている。その場観察にはNMRの信号検出コイルと試料を一体化して高速回転させる方法を利用した局所的濃度解析法を用いた。NMRは原子核固有のスピンを利用した解析法であるため、同位体の同定には適している。回転体の動径方向に開いた円柱状の空洞に液体を注入し、その最大半径部に検出コイルを設置することで、最大半径部の局所的濃度変化を観察した。
遠心分離実験はJEOL製の8mm遠心管用高速回転システムをベースにしている。この回転システムを組み込んだNMRプローブが完成し、検出コイルと試料一体の回転子を用いて最大回転数5kHzのNMR実験を実現している。回転子中には検出コイル、コンデンサー、内側誘導コイルで共振回路が構成されている。これを外側誘導コイル内に挿入し、相互誘導を通じて高速回転共振回路にラジオ波を誘導することで、NMR測定が可能になっている。まず、水溶液中の同位体分離の極端な模型としてNaI-CsI混合溶液(NaI:CsI=3.3mol/L:1.66mol/L )を用いた遠心分離実験を行った。最大半径部でのNa濃度の回転数依存性を5kHzまで測定した結果、2kHzまで単調に増加した後、5kHzまで単調に減少した。この結果は、2kHzまで最大半径部においてNaI、CsIがともに凝集することで溶液濃度が上昇し、その後に遠心加速度場における原子質量に依存した力によってNaとCsが置換したことを示唆している。今後、同条件で実験を行いCs濃度の回転数依存性を測定する。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の28年度の計画通り、8mm遠心管を用いた回転中溶液の局所濃度解析を実現し、液相での同位体遠心分離の極端な模型であるNaI-CsI混合溶液を用いたNa濃度の回転数依存性を測定することに成功した。

今後の研究の推進方策

液相での同位体遠心分離の極端な模型であるNaI-CsI混合溶液を用いたNa濃度の回転数依存性を5kHzまで測定することに成功したため、同条件の試料を用いたCs濃度の回転数依存性を測定する。Cs濃度の回転数依存性とNa濃度の回転数依存性を比較することにより液相でのイオン分離現象の解明をすると同時に、実験系の評価を行う。その後、RbI溶液等を用いた同位体の分離挙動の解明について実験を行う。

次年度使用額が生じた理由

その場観察に用いる高速回転システム及び高速回転システムを組み込んだNMRプローブについて、当初想定していた購入金額より低価格で購入することが出来たため、次年度使用額が生じることになった。

次年度使用額の使用計画

平成29年度分助成金については、当初計画のとおり、同位体の分離挙動実験に係る費用及び研究成果の発表に係る費用(学会参加費、旅費、論文投稿料)として使用し、平成28年度に生じた次年度使用額は、NMRプローブや高速回転システムの改良に係る費用として使用する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2017

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] Gyroscopic g factor of rare earth metals2017

    • 著者名/発表者名
      Y. Ogata, H. Chudo, M. Ono, K. Harii, M. Matsuo, S. Maekawa, and E. Saitoh
    • 雑誌名

      Applied Physics Letters

      巻: 110 ページ: 072409

    • DOI

      https://doi.org/10.1063/1.4976998

    • 査読あり

URL: 

公開日: 2018-01-16  

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