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2016 年度 実施状況報告書

コヒーシンによるシナプス形成制御機構

研究課題

研究課題/領域番号 16K18364
研究機関大阪大学

研究代表者

藤田 幸  大阪大学, 医学系研究科, 助教 (60631215)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2018-03-31
キーワード神経科学
研究実績の概要

本研究の目的は、染色体高次構造変化を介して遺伝子発現調節を行うコヒーシンの機能低下が、中枢神経回路形成に及ぼす影響を明らかにすることである。中枢神経回路形成の過程では、遺伝子発現が厳密に調整されている。この過程に働く遺伝子は多数に及ぶため、包括的に遺伝子発現を調節する因子が分化制御に重要な役割を担う。申請者は、クロマチンループの形成を介して、包括的に遺伝子発現を調節すると推察されているコヒーシンに焦点を当てた。ヒトのコヒーシンの機能低下により引き起こされるコルネリア・デ・ランゲ症候群 (CdLS)では、精神遅滞や自閉症様行動を伴う。これは、コヒーシンの機能が、中枢神経回路の形成に重要であることを示唆している。しかしながら、中枢神経系発達期において、コヒーシンの遺伝子転写発現機能の破綻が疾患に繋がるという、直接的な根拠は未だ示されていない。申請者は、コヒーシンの機能低下が遺伝子の転写調節に変化を及ぼし、中枢神経回路の形成が障害されるのではないかと考えた。コヒーシンの機能低下が染色体高次構造に変化をもたらし、中枢神経回路形成を障害するという仮説を立て、これを検証することとした。
平成28年度の研究から、神経細胞特異的にコヒーシンを欠損したマウスでは、シナプスやスパインの形成が障害されることが明らかになった。また、中枢神経回路形成過程において、コヒーシン欠損マウスの大脳皮質で発現変動を示す遺伝子を同定した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究では、コヒーシンの機能低下によって染色体高次構造が破綻することで、中枢神経回路の形成が障害されるメカニズムを解明することを目的とした。平成28年度の研究では、神経細胞特異的にコヒーシンを欠損したマウスを作出した。このマウスでは、野生型と比較して、シナプスやスパインの形成が障害されることが明らかになった。また、中枢神経回路形成過程において、コヒーシン欠損マウスの大脳皮質で発現変動を示す遺伝子を同定した。これらの研究成果をまとめた論文発表を予定しており、当初の目的をおおむね順調に達成している。

今後の研究の推進方策

これまでの研究から、コヒーシンが中枢神経回路形成に重要であることが明らかになった。神経細胞特異的にコヒーシンを欠損したマウスでは、中枢神経回路形成 (シナプスやスパインの形成)が障害されることを組織解析等により明らかにした。また複数の行動試験の結果から、このマウスでは不安様行動が亢進することが明らかになった。今後は中枢神経回路形成過程において、コヒーシン欠損マウスの大脳皮質で発現変動を示す遺伝子をRNA-seqにより経時的に探索し、クロマチン高次構造変化を介した中枢神経回路形成の分子メカニズムをより詳細に解析する。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2017 2016

すべて 学会発表 (4件) (うち招待講演 1件)

  • [学会発表] 中枢神経発生・発達におけるコヒーシンの機能解析2017

    • 著者名/発表者名
      藤田 幸、山下 俊英
    • 学会等名
      第122回日本解剖学会総会・全国学術集会
  • [学会発表] コヒーシン欠損によるシナプス形成障害2016

    • 著者名/発表者名
      藤田 幸、山下 俊英
    • 学会等名
      第92回 日本解剖学会・近畿支部学術集会
    • 発表場所
      狭山市
    • 年月日
      2016-11-27
  • [学会発表] 染色体接着因子コヒーシン欠損によるシナプス形成障害2016

    • 著者名/発表者名
      藤田 幸、山下 俊英
    • 学会等名
      第109回 近畿生理学談話会
    • 発表場所
      大阪市
    • 年月日
      2016-11-05
  • [学会発表] コヒーシン病モデルマウスの解析2016

    • 著者名/発表者名
      藤田 幸、白髭 克彦、山下 俊英
    • 学会等名
      コヒーシン病モデルマウスの解析
    • 発表場所
      京都市
    • 年月日
      2016-06-15 – 2016-06-17
    • 招待講演

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公開日: 2018-01-16  

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