第6層に分布する視床投射ニューロンと皮質間投射ニューロンの2種類を先にレトロビーズにより標識したうえでさらにRCaMPによる標識を行い、イメージングすることで800-1000マイクロメートル付近の6層でも安定した記録を可能とした。事前のレトロビーズでの標識は、固定脳透明化技術により、カルシウムイメージングを行った細胞について標識の有無を判定することができた。また、注入されたビーズは軸索より取り込まれ一次運動野第6層の皮質視床投射ニューロンと皮質間投射ニューロンを標識できる。同系色の色でラベルすることとなるが、波長を調整することで生体でも同時標識されているかどうかを確認することができることを確かめた。 自発的なレバー引き活動において、レバー引き終了後、次のレバー引きを開始するまでの時間を待ち時間と定義した場合に、短い待ち時間と長い待ち時間を区別して報酬を選択するような行動課題を確立した。しかし、自発的レバー引きにおいては動物が待っているのか、課題自体を無視しているのかが明らかでないケースも見られた。そこでキュー刺激を与えて、キュー以降の時間を待ち時間と定義し、待った後に行動を起こすことができるかを検討した。レバー引きの前段階としてリッキング課題により検討したところ、短い待ち時間であれば待てることを確認した。 最終年度である今年度は、課題実行時のイメージングを目標としていたが、課題の開発及び訓練に時間がかかることが明らかとなってきたため、過去に取得した課題実行時のイメージングデータを用いて、動物の行動とイメージングから得られた神経活動を統計的に関連付ける手法の一つである一般化線形モデルの導入を先に行った。
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