聴覚神経回路は、機能の上で、①高速である必要がある②左右の入力間の複雑な演算処理により空間的把握を可能としている③周囲環境に合わせ生後に成熟する必要がある、などの特徴がある。過去の研究から詳細な知見が積み上げられている分野があり、特に②に該当する「音源定位」などは詳しい神経形態学的・生理学的メカニズムが明らかになっている。本研究では、未解明のままとなっている聴覚神経回路の意義について注目し、形態学的手法を用いて解明することを目的とした。①および②については主要な聴覚神経核である下丘から内側膝状体への神経連絡を調べる事で、③については下丘での生後発達を調べる事で、その神経回路的基盤を吟味した。
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