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2016 年度 実施状況報告書

試験管内増幅法を用いた孤発性ヤコブ病のプリオン体内分布と増幅機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 16K18384
研究機関長崎大学

研究代表者

高月 英恵  長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 助教 (80773978)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2018-03-31
キーワードプリオン / クロイツフェルトヤコブ病 / 試験管内異常型プリオン増幅法 / シード活性
研究実績の概要

プリオン病は、正常型プリオン蛋白質が異常型プリオン蛋白質に変化し、中枢神経系に蓄積することで認知症や運動障害を呈する致死性中枢神経系疾患である。孤発性CJD患者では感染性は神経系組織に限局しているとされてきたが、実際のプリオンの体内分布についてはほとんど解明されていない。プリオン病患者におけるプリオンの体内分布を明らかにするため、End-point RT-QUIC 法を用いてプリオン病患者由来組織中のプリオン活性の定量を行った。
本研究では、4症例の孤発性CJD患者より剖検時に採取した臓器(脳・脾臓・肝臓・腎臓・肺・副腎)のSD50の測定を行った。脳組織では109-1010/g tissue、非神経系組織においても104-107/g tissueのシード活性が存在することが明らかとなった。これまでハムスタープリオン株を用いた研究からSD50は動物試験によるLD50に相関し、かつ検出能は100倍ほど高いと考えられている。よって、孤発性CJD患者の臓器には微量ではあるが、感染性プリオンが存在する可能性が示唆された。
これまでヒトの孤発性CJD患者の各末梢臓器における感染性は検出限界以下とされていたが、シード活性は末梢臓器にも存在し、高いものでは中枢の1000分の一になることから、低いながらも感染源になりうると考えられる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

4症例の孤発性CJD患者より剖検時に採取した臓器(脳・脾臓・肝臓・腎臓・肺・副腎)のSD50 をEnd-point RT-QUIC 法を用いて測定し、非神経系組織にも感染性プリオンが存在する可能性があることが分かった。現在、胃・食道・小腸といった消化器系組織についてもシード活性の定量を進めている。
シード活性が1010/g tissue検出された孤発性CJD患者由来脳組織について、ヒトプリオンタンパク発現トランスジェニックマウス(Ki-ChM)を用いて感染力価を測定したところ、LD50は105.7/g tissueであった。異なるCJD typeの脳組織をKi-ChM マウスに感染させており、経過観察中である。今後、感染マウスより得られた脳を含む各臓器についてシード活性の定量をおこない、CJD type による組織親和性の違いを調べる。

今後の研究の推進方策

プリオン株の性質はPrPSc の構造に起因し、PrPSc はPrPC を自分と同じ高次構造へと変化させていると考えられる。動物のプリオン株を用いた研究では、中枢神経系と非神経系組織の感染様式が異なることが報告されており、神経系組織と非神経系組織におけるプリオンの増幅様式が異なることが考えられる。
異なるCJD type の脳乳剤を感染させたマウスの各種臓器をシードとしたRT-QUIC を行う。そこで形成されたアミロイドの二次構造解析および安定性を調べることで、プリオン構造の違いによる増幅様式への影響について検討する。また、感染マウスにおける神経系組織と非神経系組織のプリオン活性を評価する他に、発症様式・罹病期間の違い、また病理標本を作製しプリオンの沈着様式や分布を調べる。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2016

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件)

  • [雑誌論文] Prion-Seeding Activity Is widely Distributed in Tissues of Sporadic Creutzfeldt-Jakob Disease Patients.2016

    • 著者名/発表者名
      Takatsuki H, Fuse T, Nakagaki T, Mori T, Mihara B, Takao M, Iwasaki Y, Yoshida
    • 雑誌名

      EBioMedicine

      巻: 12 ページ: 150-155

    • DOI

      10.1016/j.ebiom.2016.08.033

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり

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公開日: 2018-01-16  

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