研究課題
新規ヒスタミン代謝酵素阻害剤を見出すべく、昨年度に引き続き探索研究を行った。その結果、複数の化合物が既存のヒスタミン代謝酵素阻害剤であるSKF91488よりも強い阻害活性を示す事が明らかとなった。また阻害形式が、競合的拮抗作用なのか、非競合的拮抗作用なのかも併せて検討を行った。in vitroの実験系で高い阻害活性を示した化合物をマウスに腹腔内注射し、実際に脳内のヒスタミン濃度を増加させることができるかどうかについて検討した。その結果、多くの化合物ではヒスタミン濃度について変化が認められず、血液脳関門を通過できないか、代謝により不活化されてしまう可能性が考えられた。しかし、ヒスタミンと競合拮抗作用を有する化合物Xについては、腹腔内投与後に脳ホモジェネートに含まれるヒスタミン量が増加することが明らかとなった。この化合物の特性について更にin vivo microdialysis法(細胞外の神経伝達物質を測定する方法)を用いて確認したところ、化合物Xの腹腔内投与により視床下部周辺の細胞外ヒスタミン濃度が上昇することが明らかとなった。アルツハイマー病におけるヒスタミン神経系について検討するため、アルツハイマー病モデルマウスとヒスタミン代謝酵素欠損マウスとを交配させた。ヒスタミン代謝酵素がヘテロに欠損したマウスでは、脳内ヒスタミン量が十分に上昇しなかったため、現在ホモでヒスタミン代謝酵素が欠損したマウスを作製しており、今後行動解析を行っていく。
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 1件、 査読あり 6件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (5件)
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