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2016 年度 実施状況報告書

ヒト成熟NK細胞を長期間維持できるヒト化マウスを用いた生体内細胞傷害検証系の開発

研究課題

研究課題/領域番号 16K18405
研究機関公益財団法人実験動物中央研究所

研究代表者

片野 いくみ  公益財団法人実験動物中央研究所, 実験動物研究部, 研究員 (90442558)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワードヒト化マウス / NK細胞 / IL-15 / IL-2 / ADCC
研究実績の概要

申請者らは、ヒトNK細胞の分化・増幅に必須であるヒトインターロイキン-15(IL-15)遺伝子を導入した免疫不全NOG-IL-15 トランスジェニック(Tg)マウスを樹立した。NOG-IL-15 Tgマウスはヒト末梢血由来成熟NK細胞を長期間維持することが可能であることが見出われたことから、この特徴を生かし、抗体医薬の抗体依存性細胞傷害活性(ADCC)を生体内で評価できる動物モデルの開発を進めている。
本研究の目的は、ヒトNK細胞の活性化等に必要なヒト遺伝子を加えた複合型遺伝子改変マウスの作製・特性解析や、動物モデルに使用する材料や手法の検証を行い、動物モデルの改良を行う事である。
平成28年度では、既存のNOG-IL-15 TgマウスとNOG-IL-2 Tgマウスを自然交配することでNOG-IL-2/IL-15 double Tgマウスを作製し、ヒト末梢血由来成熟NK細胞の生着能およびヒト腫瘍細胞に対する細胞傷害活性が、NOG-IL-15 Tgマウスに比べて亢進するかを評価した。移植NK細胞の中に混入した微量のヒトT細胞は、IL-2存在下では爆発的に増幅するため、実験結果に著しく影響を及ぼす。ヒトT細胞増幅防止のための条件検討を行った後、NOG-IL-15 TgマウスとNOG-IL-2/IL-15 doubleTgマウスとの比較実験を行った。この結果、本実験系においては、ヒトIL-2はヒトNK細胞の活性化レベルに大きく影響しなかった。
また、ヒトNK細胞活性化因子の一つであるIL-12およびIL-18の有用性を検討するため、初期検討として、ヒトNK細胞を移植したNOG-IL-15 Tgマウスに投与することでヒトNK細胞への影響を検証したが、有意義な結果は得られなかった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

1) NOG-IL-2/IL-15 double Tgマウスを作製し、ヒト末梢血由来成熟NK細胞の生着能およびヒト腫瘍細胞に対する細胞傷害活性がNOG-IL-15 Tgマウスに比べて亢進するかを評価した。医療用抗体を転用することで、移植NK細胞中に混入している微量ヒトT細胞の除去方法を確立した。このヒトT細胞増幅防止措置を加えた手法で、NOG-IL-15 TgマウスとNOG-IL-2/IL-15 doubleTgマウスとの比較検証を行った。ヒトNK細胞を移植後、ヒト腫瘍細胞株K562を移植して検証した結果、本実験系においては、ヒトIL-2はヒトNK細胞の細胞数は微増するが、活性化には殆ど影響しなかった。
2)ヒトNK細胞活性化因子であるヒトIL-12およびIL-18の有用性を検討した。初期検討として、ヒトNK細胞を移植したNOG-IL-15 Tgマウスに、IL-12/IL-18タンパク質を投与することでヒトNK細胞への影響を検証したが、有効性は認められなかった。また、ヒト腫瘍株を併用し、抗腫瘍活性を測定したが、変化は認められなかった。
3)これまでのNOG-IL-15 Tgマウスの結果をまとめ、論文を投稿した(Scientific reports)。

今後の研究の推進方策

1)NOGマウスに、ヒトNK細胞やADCCモデル作製に有効と考えられるヒトサイトカイン遺伝子をさらに追加導入した複合型遺伝子改変NOGマウスの開発を進める。
2)in vitroで増幅した培養ヒトNK細胞を移植細胞として用い、さらにヒト腫瘍および医療用抗体を併用することで、ADCCモデルへの有用性を検証する。
3)ヒトIL-12/IL-18の投与方法を変更して、再度検証実験を行い、IL-12/IL-18の有効性が認められるか検証する。

次年度使用額が生じた理由

抗体(抗体医薬・検査用抗体など)や移植用細胞など、高額製品の購入金額の増加が見込まれ、資金の使用を一部見合わせたため。

次年度使用額の使用計画

次年度の物品費と併せて、高額試薬類を購入する。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2017 2016

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 産業財産権 (1件) (うち外国 1件)

  • [雑誌論文] A Novel Xenogeneic Graft-Versus-Host Disease Model for Investigating the Pathological Role of Human CD4+ or CD8+ T Cells Using Immunodeficient NOG Mice.2017

    • 著者名/発表者名
      Ito R, Katano I, Kawai K, Yagoto M, Takahashi T, Ka Y, Ogura T, Takahashi R, Ito M.
    • 雑誌名

      American Journal of Transplantation

      巻: 17(5) ページ: 1216-1228

    • DOI

      10.1111/ajt.14116. Epub 2016 Dec 21.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Antitumor Effect of Programmed Death-1 (PD-1) Blockade in Humanized the NOG-MHC Double Knockout Mouse.2017

    • 著者名/発表者名
      Ashizawa T, Iizuka A, Nonomura C, Kondou R, Maeda C, Miyata H, Sugino T, Mitsuya K, Hayashi N, Nakasu Y, Maruyama K, Yamaguchi K, Katano I, Ito M, Akiyama Y.
    • 雑誌名

      Clinical Cancer Research

      巻: 23 (1) ページ: 149-158

    • DOI

      10.1158/1078-0432.CCR-16-0122. Epub 2016 Jul 25.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Generation of a Nonhuman Primate Model of Severe Combined Immunodeficiency Using Highly Efficient Genome Editing.2016

    • 著者名/発表者名
      Sato K, Oiwa R, Kumita W, Henry R, Sakuma T, Ito R, Nozu R, Inoue T, Katano I, Sato K, Okahara N, Okahara J, Shimizu Y, Yamamoto M, Hanazawa K, Kawakami T, Kametani Y, Suzuki R, Takahashi T, Weinstein EJ, Yamamoto T, Sakakibara Y, Habu S, Hata J, Okano H, Sasaki E.
    • 雑誌名

      Cell Stem Cell

      巻: 19 (1) ページ: 127-138

    • DOI

      10.1016/j.stem.2016.06.003. Epub 2016 Jun 30.

    • 査読あり
  • [産業財産権] ヒトIL-15分泌免疫不全マウス2016

    • 発明者名
      伊藤守、片野いくみ
    • 権利者名
      伊藤守、片野いくみ
    • 産業財産権種類
      特許
    • 産業財産権番号
      PCT/JP2016/002112
    • 出願年月日
      2016-04-20
    • 外国

URL: 

公開日: 2018-01-16  

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