研究課題/領域番号 |
16K18421
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
坂上 倫久 愛媛大学, 医学系研究科, 助教(特定教員) (20709266)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | CUL3 / 血管新生 / 血管内皮細胞 / KCTD / アクチン重合 |
研究実績の概要 |
本研究では、血管新生制御複合体であるCUL3-KCTDタンパク質のユビキチン標的タンパク質を同定し、その生理的役割を明らかにすることを目的としている。そこで平成28年度では、愛媛大学が保有するコムギ無細胞タンパク質合成系を用いた20000タンパク質アレイを用いてCUL3-KCTDの標的基質候補タンパク質を抽出する実験を実施した。また、CUL3-KCTDの生理的役割を明らかにするために、本複合体の形成阻害剤の探索のための機能阻害化合物のスクリーニング実験を実施した。さらに、KCTD を血管内皮細胞特異的に欠損させることでKCTDの血管内皮細胞での生理的役割を明らかにすることができるものと考え、floxed-KCTDマウスの作成を試みた。以上の実験結果を次にまとめる。KCTDタンパク質をベイトとしてAlphaScreenシステムにより直接結合可能なタンパク質をスクリーニングした結果、アクチン重合制御を担うタンパク質を見出した。本タンパク質はin vitroでKCTDと結合することが確認された。また、CUL3-KCTDは細胞内で本タンパク質安定性を正に制御することも見出した。現在ユビキチン化の寄与について検討中である。さらに、CUL3-KCTDとの結合を阻害する化合物を東京大学化合物libraryより探索して、いくつかの候補化合物を見出している。in vivo実験については、KCTDのfloxedマウスを作成中であり、来年度に完成し、KCTDノックアウトマウスを解析予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初目的としていた基質探索については、その候補分子を挙げることにすでに成功している。また、CUL3-KCTDの結合阻害物質についてもすでに候補分子を見いだすことに成功しており、概ね研究目的の通りである。
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今後の研究の推進方策 |
見出した候補基質については、CUL3-KCTDのユビキチン基質であるかについてin vitroでの再構成実験を実施する。また、CUL3-KCTDの阻害化合物についての抗血管新生効果及び抗がん効果などについては、担がんモデルマウス及びin vitro angiogenesis assay法などで検証する予定としている。また、KCTDのノックアウトマウスについてもCre-loxPシステムを用いて作成し、血管内皮細胞における表現系を解析する予定としている。
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次年度使用額が生じた理由 |
Floxed-KCTDマウスの作成に計上する予定の予算が来年度に使用予定となったため。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度使用予定の予算についてはFloxed-KCTDマウスの作成(ゲノム編集等)に計上する予定にしている。
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