研究課題
消化管間質細胞腫 (gastrointestinal stromal tumour: GIST) は,胃・小腸・大腸の筋層に生じる肉腫である。消化管蠕動運動を担うカハール介在細胞またはその前駆細胞に発現しているKitチロシンキナーゼに活性化変異が生じることにより,ホスト細胞が無限増殖し,GISTの発症に繋がることが明らかとなっている。GISTは,放射線・化学療法に耐性を示し,手術不能・再発症例には有効な治療法がなかったが,Kitキナーゼ阻害剤イマチニブが開発されたことにより,患者寿命は飛躍的に延びた (5年生存率92%)。しかしながら,投与後2年半~3年で効果がなくなり,その大部分の原因が,新たなイマチニブ抵抗性Kit変異体であることが明らかとなっており,その制圧に向けた治療法開発が喫緊の課題となっている。昨年度までに,研究代表者が所属するグループは,GISTのイマチニブ感受性およびイマチニブ抵抗型のKit変異体が,これまで考えられてきた細胞膜ではなく,トランスゴルジ膜に異常に集積し,そこからがんシグナル (PI3K-Akt経路, STAT5転写因子, Mek-Erk経路の活性化) を発信することを見出した。本年度は,Kit変異体のゴルジ体への移行を阻害する化合物のがんシグナルへの影響を調べ,それら阻害剤がKitシグナルを抑制し,細胞増殖を有意にブロックすることを示した。また,同様の阻害戦術によって,イマチニブ耐性型Kitを発現する他のがん (マスト細胞腫・マスト細胞白血病) の増殖を抑制できることを見出した。
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Cancer Letters
巻: 415 ページ: 1-10
10.1016/j.canlet.2017.11.032.
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http://tus-ribsjm.clsv.jp/immunology/
http://www.ribs.tus.ac.jp/
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