消化管間質細胞腫 (GIST) は,胃・小腸・大腸の筋層に発症する肉腫であり,約85%の症例でKitチロシンキナーゼの活性化変異が認められる。そのため,Kit阻害剤イマチニブが治療薬として用いられるが,抵抗型Kitの存在が報告され,その制圧が喫緊の課題となっている。本課題では,GIST患者由来の腫瘍切片や細胞株を用い,イマチニブ抵抗性の有無にかかわらず,Kit変異体がこれまで考えられてきた細胞膜ではなくゴルジに分布し,そこでシグナルを発信していることを明らかにした。本研究は,Kitシグナルの時空間情報を明らかにし,治療薬の効果の正確な理解および新たな治療法の開発の一助となるものと考えられる。
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