研究課題
REIC (Reduced expression immortalized cell)は、多岐にわたるがん種において発現が低下しており、がん抑制遺伝子として機能することが明らかとなっている。さらにREICの強い抗がん作用を利用したバイオ医薬品として、アデノウイルスを用いた遺伝子治療製剤(Ad-REIC)が開発され、前立腺がん・悪性中皮腫を対象とした臨床試験が実施中である。この治療をモニターする方法としてREICタンパク質の血中濃度の測定系を検討し、独自にエピトープが異なる12種類のモノクローナル抗体、ポリクローナル抗体を整備し、それらを組み合わせたsandwich ELISA系を確立した。これら測定系を用いた前立腺がん患者の遺伝子治療前後の血清の解析により、Ad-REIC投与後にREICタンパク質濃度の上昇を確認した。さらにこれらの解析結果から前立腺がん患者血清中には異なる構造のREICタンパク質が存在し、がんの状態によりそのタンパク質の比率が異なることが示唆された。この測定系の有効性を複数のがん種で検証するため、健常人10例・肝がん患者10例、肺がん患者15例の未治療の血清を用いて検討し、他のがん種においても適応可能であることを示した。REICは、多岐にわたるがん種において抗がん作用を示しており、複数種のがんで臨床試験を実施・計画中であるため、この測定系もあわせてREIC治療の薬効評価およびコンパニオン診断薬としての実用化を推進中である。またモノクローナル抗体のエピトープを決定することで、がん患者血清中に存在するREICは、コイルドコイルドメインを介してがん特異的なタンパク質と結合していることが予測された。現在、がん免疫に関連するREIC結合受容体の解析中であり、がんの進展を抑制するREICの作用点解明につながる研究へと発展させる。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 5件) 学会発表 (4件) 産業財産権 (1件) (うち外国 1件)
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