研究実績の概要 |
本研究は、がん化学療法において中心となって使われている細胞傷害性抗がん剤の感受性を予測するための遺伝的マーカーを同定し、がん患者一人ひとりに最適な抗がん剤治療を提供することを目的とする。 9種類の細胞傷害性抗がん剤(Mitomycin C, Cyclophosphamide, Nimustine, Cisplatin, Adriamycin, Vincristine, Vinblastine, 5-fluorouracil, Methotrexate)感受性データを有するnude mouse xenograft 59例を用いて、409がん関連遺伝子のエクソン領域のターゲットシーケンスを行った。得られたリードはヒトリファレンス配列とマウスリファレンス配列にそれぞれマッピングし、ヒト由来と判定されたリードのみを用いて変異を検出した。検出されたsingle nucleotide variant (SNV)のallele frequencyに応じて、xenograftを3群に分類し、抗がん剤感受性との関連解析を行った。さらに、遺伝子発現量と抗がん剤感受性の関連解析も行った。感受性との関連が示唆されたSNVについて、別のxenograft 20例より抽出したDNAを用いて追試を行い合計35 SNVsを抗がん剤感受性予測マーカーとして同定した。そのうち2つは複数抗がん剤において感受性との関連が示された変異であった。
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