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2016 年度 実施状況報告書

スーパーアパタイトを用いた新規光線力学療法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 16K18451
研究機関大阪大学

研究代表者

玉井 皓己  大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (60724250)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2018-03-31
キーワードドラッグデリバリーシステム / 光線力学療法 / ICG
研究実績の概要

はじめに当教室で開発・研究中のin vivo用drug delivery system (DDS)であるsuper carbonate apatite (sCA)にインドシアニングリーン (ICG)を搭載可能であることを示した (sCA-ICG)。sCA-ICGの吸収極大波長はICGと同じ778nmであった。光照射による温度上昇、ROS発生ともICG単独と比し、sCA-ICGで有意に高いことが分かった。即ち、ICGをsCAに搭載することは、ICGの持つ光感受性物質としての作用を増強させる可能性がある。大腸癌細胞株であるHT29、HCT116に対する細胞取り込みについて、蛍光顕微鏡で確認し、フローサイトメトリーで定量化した。sCA-ICG入りmediumで3時間または6時間培養した群はICG入りmediumで培養した群と比較して有意に細胞内へのICGの取り込みが高いことが分かった。
次に、sCA-ICGまたはICG存在下に3時間培養したHT29またはHCT116への光線照射による抗腫瘍効果の比較を行った。両細胞株ともに、ICGに比し、sCA-ICG培養群で有意に強い抗腫瘍効果を認めた。
sCA-ICGに他薬剤を搭載することによる治療効果の上乗せも検討した。我々は過去に、sCAにGlucoseを搭載したsCA-Glcがin vitro、in vivoともに良好な抗腫瘍効果を示すことを報告している。そこで今回、sCAにICGとGlucoseを搭載したsCA-ICG-Glcを作成したところ、HCT116における光照射実験で、sCA-ICGと比較して有意に高い抗腫瘍効果を得た。抗癌剤や核酸のDDSとしてsCAを用いることで、in vivoで高い抗腫瘍効果が得られることを報告しており、sCA-ICGは様々な種類の薬剤を同時搭載したdual therapyの達成に可能性を有すると考えられる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成28年度の計画は、sCA-ICGの作成と物性の検討、in vitroにおけるICGとの比較検討であった。これらの主となる実験は計画通りに終了している。抗腫瘍効果を示すメカニズムの検討は行えていないが、平成29年度に行う予定の動物実験はすぐに行える状態であり、本研究の進捗は概ね順調と考えている。

今後の研究の推進方策

当初の計画通り、主として動物実験を行う。免疫不全マウスに皮下腫瘍を作成し、はじめに臓器分布の検討を行う。ICG単独 (尾静脈注射: 尾注)、sCA-ICG (尾注)の臓器分布を評価する。ICGの腫瘍と正常臓器への集積 (肝、脾、腎、心、肺、脳)をin vivo imaging systemを用いた経時的な評価を行う。また、腫瘍や正常臓器内におけるICGの分布について蛍光顕微鏡で評価する。
前記の腫瘍と正常臓器におけるICGの取り込みを参考に、腫瘍/正常組織比が最も高い投与法とその時間での光線力学療法の治療効果を評価する。腫瘍径が150~200mm3時点で、光照射を行い、2日毎の腫瘍体積と体重を測定する。約2週間観察し、最終的には腫瘍を取り出し、質量計測を行う。光線照射については、800nm前後の光線照射を1W/cm2×5分を中心に設定する予定である。
次に、市販されているICG-liposomeとsCA-ICGの腫瘍、臓器ICG取り込みや抗腫瘍効果を比較する。実験計画については、上記sCA-ICGと同様とする。
また、平成28年度で検討予定であったdual therapyの検討を続ける。抗癌剤や金コロイドをsCA-ICGに同時搭載が可能であるかを検討する。In vitroにおいて良好な抗腫瘍効果を示したsCA-ICG-Glcについては、臓器分布と光照射による抗腫瘍効果を検討する予定である。

次年度使用額が生じた理由

研究試薬の相見積もりを取ることで研究費の節約を行っており次年度へ予算を回すことが可能となった。

次年度使用額の使用計画

今後、スーパーアパタイトを用いた新規光線力学療法の開発費として計上見込み。

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公開日: 2018-01-16  

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