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2017 年度 実施状況報告書

キナーゼ活性化剤が導く癌治療への新たな展望

研究課題

研究課題/領域番号 16K18460
研究機関大阪医科大学

研究代表者

田中 義久  大阪医科大学, 医学部, 助教 (20648703)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワードキナーゼ活性化剤
研究実績の概要

キナーゼ活性化剤であるCMB-236はヒト乳癌細胞株MDA-MB231に対して受容体型チロシンキナーゼであるEGFRおよびEphA2のリン酸化を恒常的に亢進しており、カスパーゼ依存性の細胞死を誘導した。マルチなチロシンキナーゼの阻害剤として知られるスニチニブをMDA-MB231に同時添加したところ、CMB-236による細胞死は有意に抑制された。そこで受容体型チロシンキナーゼの活性化によってもたらされる細胞死について検証した。免疫組織化学染色によりEGFRの局在を観察したところ、EGFRはエンドサイトーシスにより細胞内に数多く取り込まれており、エンドソームのマーカーであるRab5およびRab9の免疫組織化学染色の結果、エンドソームが肥大していることがわかった。エンドサイトーシスに関与するPI3K classⅢを3-MAにより阻害したところ、CMB-236によるエンドソームの肥大は抑制され、さらにカスパーゼ依存性の細胞死も抑制された。CMB-236による癌細胞の変化を透過電子顕微鏡にて観察したところ、細胞内に数多くの空胞が観察され、癌細胞におけるホメオスタシス機構が破綻しているように思われた。ウエスタンブロットの結果より、CMB-236による受容体型チロシンキナーゼのリン酸化の亢進は一過性ではなく恒常的に活性化させていることから、細胞内での過剰なシグナルが結果的に大きな負荷となり、カスパーゼ依存性の細胞死を誘導していることが考えられた。キナーゼを阻害ではなく活性化させることでも細胞死を誘導できることから、新たな視点での抗癌剤の創薬の可能性を示唆する結果である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の研究計画通りに研究が進められている。

今後の研究の推進方策

In vitroにおいてキナーゼ活性化剤はヒト乳癌細胞株MDA-MB231に対してカスパーゼ依存性の細胞死を誘導した。MDA-MB231はトリプルネガティブであり、悪性度の高い乳癌細胞株として知られている。トリプルネガティブ乳癌に効果的な分子標的薬はないため、本研究のキナーゼ活性化剤がIn vivoにおいて抗腫瘍効果を示すかどうか検証していく予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2018 2017

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] 低分子キナーゼ活性化剤CMB-236の癌細胞に及ぼす生理活性および細胞死の解析2018

    • 著者名/発表者名
      田中 義久、前村 憲太朗、奥野 恭史、近藤 洋一
    • 学会等名
      日本解剖学会
  • [学会発表] キナーゼ活性化剤CMB-236による癌細胞死誘導2017

    • 著者名/発表者名
      田中 義久、前村 憲太朗、奥野 恭史、近藤 洋一
    • 学会等名
      日本解剖学会

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公開日: 2018-12-17  

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