研究実績の概要 |
本研究では、高効率・高精度なHLA遺伝子シークエンス・タイピング技術の確立を目指す。さらにHLAを含むゲノム情報と様々な情報を複合的に絡めた統計モデルを開発し、大規模サンプルにおいて開発技術を適用することで難治性疾患の発症機序の解明を目指す。 今年度は、本課題中に開発したHLAアレルをタイピングする手法HLA-HD(Kawaguchi et al., Human Mutation, 2017)に対する数度の改良を行い、ホームページを通じて公開した。HLA-HDの利用に関しては、現在までに 30カ国、計140(国内12、国外128)の大学・企業・病院・研究施設からの申請があった。 HLAデータを用いた難病解析に関しては、HTLV-1関連脊髄症(HAM/TSP)患者、無症候性キャリア群、日本全国対照群サンプルの約1,000検体におけるHLA遺伝子のシークエンスおよびタイピングを実施し、これまでの結果と併せて約6,000検体の結果を得た。加えてHAM/TSP患者、キャリアの計2500名におけるプロウイルス量測定結果を用いて、HAM/TSPの発症やプロウイルス量と関連する遺伝的な要因を導き出す統合的な関連解析手法を考案した。開発手法により、プロウイルス量と関わるアミノ酸残基、HAM/TSP発症者・キャリア間で関連するアミノ酸残基をそれぞれ独立に同定できた。 完全長配列が未だ未決定であるHLAアレルの未知領域配列を決定するため、開発したPCRプライマーセットを用いたショートリードおよびロングリードのシークエンス解析結果を融合して完全長配列を作成するプロトコルを開発した。
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