研究課題/領域番号 |
16K18494
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
太田 信哉 高知大学, 教育研究部医療学系基礎医学部門, 講師 (00631194)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 分裂期 / 染色体分配 |
研究実績の概要 |
本研究は、分裂期染色体タンパク質の大規模解析を通して見出した、新規染色体タンパク質、特にセントロメア・キネトコアタンパク質の機能解析を目的とするものである。 そのために、CRISPR/Cas9を用いて、新規キネトコアタンパク質MKT4、あるいは新規セントロメアたんぱく質AIR-0,1あるいは染色体タンパク質BAZ1Bを欠失した細胞をヒトHeLa細胞より作成した。それぞれのノックアウト細胞の表現型を蛍光免疫染色等の細胞生物学的な手法と、プロテオミクスの手法を組み合わせ解析することで下記に述べる新規タンパク質の機能の一端を明らかにすることができた。 AIR-0に関しては、CENP-B依存的にペリセントロメアに局在し、そのペリセントロメア領域のヘテロクロマチン化メカニズムに関わることが明らかになりつつある。 一方で、BAZ1Bに関しては、その類似タンパク質BAZ1Aとともに分裂期での機能を示唆する結果が得られた。具体的には、BAZ1Bが分裂前期での染色体凝縮が遅く、正常な構造で凝縮されていない可能性が示唆された。そのために、BAZ1AとBAZ1Bのダブルノックアウト細胞では、分裂後期に染色体の分配異常が高頻度(>20%)で見られた。 得られたこれらの知見はこれまで未知なものであり、それぞれの新規タンパク質の存在を指摘するにとどまらず、その機能に迫ることのできたのインパクトは極めて大きい。今後も、染色体分配の全体像を理解する研究の発展にも期待できると考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでに、見出したセントロメア・キネトコアタンパク質MKT4, AIR-0, AIR-1のみならず、研究の過程で見出した、染色体分配の制御に関わる染色体タンパク質BAZ1A, BAZ1Bのノックアウト細胞の作成に成功した。BAZ1A, BAZ1Bに関しては、ノックアウト細胞を用いた機能的解析を終えるに至っている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、質MKT4, AIR-0, AIR-1のノックアウト細胞の詳細な解析を通して、それぞれの機能を明らかにしていく。また、これらのタンパク質がHP1と密接に関わっていることも明らかになってきているため、HP1のノックアウトの作成とそれを用いた解析も行なっていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究費. 調達方法の工夫などにより、当初計画より経費の節約ができたため。
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次年度使用額の使用計画 |
今後は、論文作成を早め次年度における、本研究成果の論文掲載費に用いる。
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