研究課題/領域番号 |
16K18497
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
吉田 圭介 国立研究開発法人理化学研究所, 眞貝細胞記憶研究室, 特別研究員 (80587452)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | Transgenerational / 自然免疫ストレス |
研究実績の概要 |
自然免疫ストレスが次世代に遺伝する分子機構として、マウス精子のエピジェネティック修飾状態がストレスによって変化している可能性が考えられる。そこで、今年度は自然免疫ストレス後の精子におけるエピジェネティック変化について解析を進めた。哺乳類の精子では、精子形成過程においてほとんどのヒストンがプロタミンに置き換えられる一方で、最近の報告から精子に微量に残存するヒストンが次世代の遺伝子活性化や染色体構造に影響を与えることが示唆されている。一般にこのような解析では、マウス精巣上体の培養によって得られる泳動精子画分が使われるが、申請者はマウス精子を解析しているなかで、このような画分にはヒストンがプロタミンに完全には置き換えられていない未成熟精子が10%前後混入していることを見出した。そこで、ヒストン置換が完全行われている精子をHRCS(Histone Rplacement Completed Spermatoa)と名付け、新規にHRCSのみを単離する手法を解析した。次に、TLR ligansの一つであるLPSをバクテリア感染をミミックするものとしてマウスに投与し、投与前から投与後9週間に従ってマウスからHRCSを回収し、各修飾ヒストンの量を解析した。その結果、LPSの投与期間に従ってHRCSにおけるヒストンH3K9トリメチルがレベルが上昇していた。この結果から、マクロファージで観察されるようなLPS toleranceに似た現象が次世代に遺伝するのではないかと予想された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度の解析から、自然免疫ストレスが次世代に遺伝する期待されるLPSの投与条件・期間などが分かったため、残りの期間で次世代マウスの解析に注力する。
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今後の研究の推進方策 |
PBS/LPS投与99週間のマウスからHRCSを回収し、H3K9トリメチル化などのヒスト修飾状態をChIP-seqで解析すると共に、次世代マウスを作出し、細菌抵抗性や免疫細胞の遺伝子発現状態の解析を計画している
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