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2016 年度 実施状況報告書

逆方向RNA伸長酵素のRNA選択機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 16K18511
研究機関国立研究開発法人産業技術総合研究所

研究代表者

中村 彰良  国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生物プロセス研究部門, 研究員 (10583891)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2018-03-31
キーワードX線結晶構造解析 / tRNA修飾 / アミノアシルtRNA合成酵素 / DNA/RNAポリメラーゼ / 鋳型依存伸長反応 / タンパク質 / 核酸
研究実績の概要

近年、通常の核酸合成酵素とは逆向きの3′-5′方向への塩基伸長活性を有する酵素Thg1とTLPが発見され,遺伝情報伝達機構の新事実に注目が集まっている.研究代表者らはこれまでにThg1とTLPのtRNA複合体構造の解析に成功し,新規のRNA認識機構を提唱してきている.本研究では,未解明であるTLPのアンチコドン認識様式をX線結晶構造解析およびX線小角散乱解析によって明らかにし,提唱したRNA認識機構の全容を解明する.また得られた知見を元に,tRNAのみならず多様なRNAに対し3′-5′方向への塩基伸長を可能とする手法を確立し,全く新しい研究ツールへの応用に繋げることも目的としている.
計画に基づき、今年度はThg1およびTLPが有する3′-5′方向の塩基伸長活性を1本鎖RNAへ展開するために、tRNAを鋳型RNAと基質RNAに分割した2本鎖RNA (分割型tRNA)を作成し,その最適化を行った。分割位置および塩基配列の検討の結果、分割型tRNAのステムループ構造を熱力学的に安定化することで活性を大幅に向上させることに成功した。さらに、最適化した分割型tRNAを用いThg1のGTP認識機構の解析を行った結果、GTP認識が相補鎖側の塩基との組み合わせによって決定されることを明らかにした。また、TLPのRNA認識の解析に関しては、TLP-tRNAHis複合体を大量調製し、放射光施設PFにて小角X線散乱(SAXS)実験を行った。現在、これまでに得られているX線結晶構造解析の結果を利用し、測定データの解析中である。一方で、TLP-tRNAHis複合体のX線結晶構造解析に関しては、結晶化条件の探索に加え複合体の調製方法も検討したが、現在までに良質な結晶は得られていない。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度はTLP-tRNAHis複合体のSAXSデータ測定を行い、溶液状態でのRNA認識様式の解析を行っている。また、Thg1およびTLPの利活用に向け、分割型tRNAの最適化に取り組み、高活性を示す分割型tRNAの開発に成功した。しかし、TLP-tRNAHis複合体のX線結晶構造解析に関しては良質な結晶が得られていないため、来年度は結晶化条件の最適化に努める。

今後の研究の推進方策

引き続きTLP-tRNAHis複合体の結晶化条件の最適化に取り組み,良質な結晶を得るよう努める.また、既に得られているTLP-tRNAHis複合体のSAXSデータの解析を進める。Thg1およびTLPの応用に関しては、最適化した分割型tRNAが塩基認識の解析に有用であることが分かったので、蛍光基等を有する修飾塩基に対する活性の評価を行う。

次年度使用額が生じた理由

TLP-tRNAHis複合体の良質な結晶が得られなかったため、回折データ測定に必要な出張費およびX線結晶構造解析に必要な消耗品、設備費の使用がなく、予定よりも使用金額が下回った。

次年度使用額の使用計画

TLP-tRNAHis複合体の結晶化条件の探索のために必要な結晶化スクリーニングキットの購入に使用する。また、学会参加費や英文校正料,研究成果論文投稿料に充てる。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2017

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 3′-5′方向塩基伸長を触媒するtRNA修飾酵素の基質特異性解析2017

    • 著者名/発表者名
      中村彰良、汪道楽、小松康雄
    • 学会等名
      日本薬学会第137年会
    • 発表場所
      東北大学川内キャンパス (仙台市)
    • 年月日
      2017-03-24 – 2017-03-27

URL: 

公開日: 2018-01-16  

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