研究実績の概要 |
中心小体形成における分子それぞれの作用点を特定するため、標的タンパク質を時期特異的にknockdownできるAIDシステムを導入した。中心小体に局在しその形成に必須である、進化的に保存されたタンパク質のうち、カートホイール構造の主要構成因子であるHsSAS-6およびCPAP,Cep135, Cep295に対して、内在の分子にAID-tagを付与したヒト培養細胞ラインの作成を試みた。その結果、 HsSAS-6 の両方のalleleに AIDを付与した HsSAS-6-AID cell lineを樹立した。他の分子については期間内に細胞を樹立することができなかったため、現在も作成継続中である。 今年度は昨年に引き続き、HsSAS-6-AID cell lineを用いて、HsSAS-6の中心小体形成における役割について、解析を行った。その結果、これまでの、形成開始における役割に加えて、形成過程における新たなHsSAS-6の機能を明らかにすることができた。上記研究成果に関して、現在論文査読中である。 さらに今年度は、前年まで行ってきた大腸菌を用いたタンパク精製に加え、昆虫細胞系を用いて、高次分子複合体の精製が可能であるMulti-Bacシステムの導入を行った。その結果、HsSAS-6, STIL, Plk4に加え、CPAP, Cep152を含めた5つのタンパク質の全長を精製することができた。今後、in vitroのカートホイール構造全体の再構成を試みることにより、構造体形成のしくみ、すなわち初期の中心小体構築過程のメカニズム解明を目指していきたい。 本研究の結果より、中心小体の形成・維持のメカニズムの一端が明らかになり、本研究課題の大きな目的である、初期の中心小体形成過程の解明に一歩近づいた。
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