近年、断片化したtRNAが、ストレス条件下で蓄積されることや、翻訳制御、RNAi、がん細胞の増殖制御に関わっていることが明らかとなってきており、tRNAがこれまで知られていた普遍的な翻訳機構のみならず、様々な生命現象に関与している可能性が示されてきている。このような動向の中で、本研究では、tRNAの前駆体が栄養状態に応じたTORキナーゼの活性調節に重要な働きをしているという全く新しい調節機構を見出すことができた。TORキナーゼに関しては、ヒトにおいて多数の疾患に関わっていることが報告されており、本研究で得られた成果が将来的にそれらに対処する上で有益な情報となることが期待される。
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