研究実績の概要 |
E3ユビキチンライゲースであるMind bomb1(Mib1)はNotchシグナルの正の制御因子としてよく知られているが、申請者はMib1の新たな基質としてp120ctnを同定した。p120ctnは細胞移動に関わるRac1の活性化を促進することから、Mib1はp120ctnのユビキチン化を介して、細胞移動に関わるものと考えられる。これまでの解析からMib1はp120ctnのK547, K569, K574のいずれかまたは複数個所をユビキチン化しているものと推察された。そこで各々のリジンをアラニンに置換した変異型のp120ctnを作製し、ユビキチン化を検討したところ、K547がMib1によるユビキチン化部位であることが明らかとなった。またK547のユビキチン化依存的にp120ctnの機能が制御されていることも明らかとなった。次に側線原基の移動においてp120ctnの機能解析を行った。mib1変異体で側線原基の移動が観察されるが、この表現型がMib1によるp120ctnの機能抑制の損失に起因したp120ctnの機能亢進によるものであると考え、p120ctnの機能抑制実験を行った。その結果、モルフォリノアンチセンスオリゴを用いてp120ctnの発現を抑制すると、側線原基の移動が部分的に回復することが明らかとなった。このことからMib1によるp120ctnの機能制御がゼブラフィッシュの側線原基の移動制御に貢献していることが示された。以上の結果は現在論文投稿準備中である。また側線原基の移動を観察するにあたり作製したゼブラフィッシュトランスジェニックライン、Tg(UAS:Lideact-mCherry), Tg(UAS:Lifeact-EGFP), Tg(UAS:EB1-mCherry)は新規のトランスジェニックラインとしてgenesis 54(9) 483-489にて報告した。
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