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2016 年度 実施状況報告書

下オリーブ核ニューロンの運命決定と神経回路形成の分子メカニズム

研究課題

研究課題/領域番号 16K18548
研究機関名古屋大学

研究代表者

竹内 未紀  名古屋大学, 生物機能開発利用研究センター, 研究員 (60625127)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2018-03-31
キーワード小脳 / 下オリーブ核ニューロン / gsx2 / ptf1a
研究実績の概要

神経回路は、ニューロンどうしが軸索と樹状突起を介して正確に結合することで成立する。この形成過程について、ゼブラフィッシュの下オリーブ核ニューロンをモデルとし、正確な軸索投射を制御する分子機構の解明を目指した。
下オリーブ核ニューロン神経前駆細胞に発現するGsx2、Ptf1aの細胞分化・細胞移動に関する役割について、変異体とトランスジェニック(Tg)ゼブラフィッシュを用いて解析した。
下オリーブ核ニューロンをGFP標識するトランスジェニック(Tg)系統を用いた解析から、gsx2またはptf1aのホモ接合体では下オリーブ核ニューロンの減少がみられたことから、Gsx2、Ptf1aの両者が下オリーブ核ニューロンの形成に関わることを見出した。両者の遺伝子カスケードの位置関係を明らかにするために、gsx2-/-個体でptf1aの、ptf1a-/-個体でgsx2の内在性の発現を検索した結果、どちらの発現も変化は見られなかった。よって、2遺伝子は上下関係にはなく、独立または協調的に下オリーブ核ニューロンの分化に関わることが示唆された。
gsx2変異体でのgsx2:RFP、ptf1a:GFPの発現を検討すると、前駆細胞は観察されるが下オリーブ核での発現が減少した。一方、caspase3抗体による免疫染色でもアポトーシスは検出されなかったことより、Gsx2は前駆細胞からの正常な分化に必要と予想された。
さらに、後脳前後軸位置情報の登上線維のtopographic map形成における役割の解明のため、下オリーブ核ニューロンが由来する菱脳節6-8番の神経前駆細胞の位置情報を制御する因子群のノックダウン実験を試みた中で、raldh2遺伝子のノックダウン解析により、後脳前後軸位置情報が重要な可能性が見えてきた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

これまで、gsx2、ptf1a変異体において、Tgゼブラフィッシュによる表現型観察を中心的に行い、ほぼ計画通り行うことができた。しかし、軸索投射レベルからの解析については遅れている。具体的には、小脳に蛍光色素DiIを注入することによる逆行性の登上線維の染色を試みたが、これにはまだ実験手法上の改良の必要がある。
これと関連して、登上線維の軸索形成過程の観察については解析が進んでいない。Gal4 Tg系統を用いて、神経回路を詳細に識別する方法、すなわちTol1 transposonを用いてUAS:Kaedeレポーターを少数細胞に導入する観察手法や、Cre依存的に多色蛍光タンパクを発現するUAS:Zebrabowシステムを用いた解析も、安定した実験条件を確立する必要がある。

今後の研究の推進方策

これまで、下オリーブ核ニューロン内在性に発現する遺伝子について、変異体における変化を確認しようと試みたが、発現時期と実験手法の問題により確認できていない。これについては、既存の遺伝子だけでなく、新たな遺伝子の探索の必要もあり、次年度の計画とともに継続の課題となっている。計画している下オリーブ核ニューロンの遺伝子プロファイリングに関しては、現在改良中の逆行性蛍光トレーサーによる蛍光標識も導入する予定であり、まずこの手法の確立を行った上でプロファイリングに取り組みたい。そしてさらに、Gsx2、Ptf1aの下流で機能する遺伝子の同定を行い、下オリーブ核ニューロンの分化・細胞移動の分子メカニズムの解明を目指す。

次年度使用額が生じた理由

予定していた論文投稿費の請求が予定より遅れため、次年度での使用分とした。

次年度使用額の使用計画

論文投稿のために使用する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2016

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] ゼブラフィッシュのプルキンエ細胞および下オリーブ核ニューロンの発生を制御するPtf1aおよびGsx2の機能解析2016

    • 著者名/発表者名
      伊藤 翼
    • 学会等名
      日本発生生物学会 秋季シンポジウム2016
    • 発表場所
      三島市民文化会館
    • 年月日
      2016-10-19 – 2016-10-20

URL: 

公開日: 2018-01-16  

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