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2016 年度 実施状況報告書

光化学系IIの修復におけるサイクリック電子伝達の役割解明

研究課題

研究課題/領域番号 16K18561
研究機関埼玉大学

研究代表者

高橋 拓子  埼玉大学, 理工学研究科, 助教 (50748126)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2018-03-31
キーワードサイクリック電子伝達 / 光阻害
研究実績の概要

光合成電子伝達は、2つの光化学系(PSII, PSI)を用い酸素発生とNADPH, ATP生成を伴うリニア電子伝達と、PSIのみを用いATPのみを生成するサイクリック電子伝達の2つのモードがある。PSIIは強光による失活(光阻害)に陥った際にサイクリック電子伝達がATP合成を促進することで、光阻害からの回復に何らかの役割を果たしていることが予測される。そのため本研究の目的は、光阻害の緩和に重要なPSIIの修復に果たすサイクリック電子伝達の役割を解明することである。平成28年度は、サイクリック電子伝達活性が増加する条件の特定、その条件下でのATP合成能およびPSII修復能の評価、サイクリック電子伝達関連遺伝子の欠損変異体の作製を目指して解析を行った。
まず、シアノバクテリア(Synechocystis sp. PCC. 6803)におけるサイクリック電子伝達
測定方法を確立した。さらに、細胞に比較的強い光(200 μmol photons m-2 s-1)を照射することにより、サイクリック電子伝達活性が増加すること(光活性化)を見出した。サイクリック電子伝達関連遺伝子の欠損変異体の作製については、Synechocystis におけるサイクリック電子伝達に関連する遺伝子 pgr5, ndhSのうち、pgr5の欠損株を単離し解析を行っている。pgr5欠損株では、弱光下では際立った表現型を示さなかったが、光照射時のサイクリック電子伝達の光活性化が起こらなかったことから、pgr5は真核生物での報告と類似して、サイクリック電子伝達の活性調整に重要であることが考えられる。今後は、欠損株におけるATP定量やPSIIの修復について評価するとともに、ndhS欠損株およびpgr5/ndhS二重欠損株が得られ次第解析を行う。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当該研究は主に研究代表者が一人で遂行しているが、変異株作製については研究協力者である卒研生の協力のもと、分光学測定については、Bailleul博士(フランス国立科学センター)の助言のもと行っている。研究の計画および遂行は、西山佳孝教授の助言のもと行っており、進捗速度としては概ね良好である。計画している欠損株の単離が完了すると、解析はよりスムーズに進捗すると考えられる。

今後の研究の推進方策

当初の研究計画通り遂行する予定であるが、当該課題で扱う生物をシアノバクテリアのみならず緑藻クラミドモナスも使用する。理由としては、クラミドモナスのサイクリック電子伝達変異株を入手し、当該研究計画で述べた解析を行っていたところ、強光下での光化学系Iの失活が顕著であることを見出した。そのため、サイクリック電子伝達が光阻害の緩和に果たす役割を明らかにするために、クラミドモナスを用いた解析も取り入れることにした。

次年度使用額が生じた理由

当初購入予定であったルミノメーターの代替え機器が所属部署内にあり購入を見合わせたため。

次年度使用額の使用計画

次年度使用額は主に消耗品と論文投稿に使用する。

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公開日: 2018-01-16  

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