現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ビオルデルフィンを合成する配糖化酵素遺伝子である AA7BG-GT1 (BGGT1), GT2 (BGGT2) の 2 遺伝子が組換え酵素実験により同定されていたが、BGGT1, 2 の両遺伝子の欠損品種が見つかっていなかったため、遺伝学的証明がされていなかった。前年度までに育種家の方の協力により、BGGT1, 2 の二重欠損体品種見つけることができたため、各遺伝子配列および酵素活性を確認し遺伝学的証明を行い論文にまとめた (Ishii et al., J Plant Physiol., 2017)。 次にビオルデルフィンに 2 分子のグルコースが結合したアントシアニンであるビスデアシルシアノデルフィンを恒常的に蓄積しているデルフィニウム品種を同定したため、ビスデアシルシアノデルフィンの単離を行った。まず、シアノデルフィンを合成する酵素遺伝子群の単離・同定としてはじめに糖鎖にアシル基を修飾する酵素遺伝子の同定を目指した。ビオルデルフィンを合成するアシル基転移酵素としてアシルグルコースをアシル基供与体に利用する SCPL2 遺伝子が同定されているため、はじめにビスデアシルシアノデルフィンの糖鎖にアシル基を転移させる酵素が SCPL2 であるか確認を行った。反応の受容体としてビスデアシルシアノデルフィン、アシル基供与体として pHBG を使用し、各品種の花から粗酵素を抽出して酵素活性の検討を行った。その結果、どの品種の粗酵素を使用した場合においても反応生成物の検出にはいたらなかった。反応産物が得られなかった原因として、シアノデルフィンが合成される経路がビオルデルフィンの構造を介さないこと、または反応に必要とするアシル基・糖供与体が pHBG ではないことが推察された。
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