研究課題
我々は、これまでに植物プロテインキナーゼCRK2によるリン酸化が植物ホルモン・ジベレリン(GA)受容体GID1の安定化に関与すること、さらに、GID1と相互作用するRING型E3リガーゼGARUがCRK2によってリン酸化されることを明らかにしている。前年の研究成果において、GARUはGID1のユビキチン化依存的な分解を誘導し、GAシグナルを負に制御する機能を有していることを明らかにした。本年度は、GARUのチロシンリン酸化を触媒するCRK2がGAシグナルにおいてどのような役割を果たしているのかを解析した。まず、我々はCRK2によってリン酸化されるTyr-321残基に変異を導入した擬似リン酸化/非リン酸化型GARUを発現する遺伝子組み換え体の作出を試みた。しかしながら、野生型および変異型GARU遺伝子の高発現は、GID1受容体の分解を促進するためにほとんど発芽せず、遺伝子組み換え体を作出することができなかった。そこで、プロトプラストを用いた一過的発現解析系を用いて、CRK2によるGARUリン酸化の機能を解析した。その結果、CRK2によるGARUのTyr-321残基へのリン酸化はGARU-GID1相互作用を阻害すること、さらに、リン酸化状態/擬似リン酸化型のGARUはGID1をほとんどユビキチン化できないことが明らかになった。さらに、CRK2高発現植物体は、GA感受性がgaru遺伝子欠損体と同等であることが明らかになった。以上の結果から、CRK2はGARUをチロシンリン酸化依存的に不活性化し、GID1の安定化に寄与するGAシグナルの正の制御因子であることが明らかになった。
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Nature Communications
巻: 8 ページ: 1004
10.1038/s41467-017-01005-5