本研究では,昆虫の変態開始を決定づける栄養チェックポイントの実体に迫るべく,ショウジョウバエを用い遺伝学・栄養学的解析を行った.その結果,①アミノ酸摂取によりエクジステロイド産生が活性化し,蛹への変態が誘発されること,②栄養摂取により前胸腺のインスリン/TORシグナルが活性化し,これにより核内倍加の進行ならびにエクジステロイド産生が促進されること,③前胸腺における核内倍加の進行により,前胸腺細胞のゲノムDNAの特定領域にコピー数の減少が引き起こされることを見出した.これらの研究結果は,従属栄養生物の発育過程の分子メカニズムを理解する上で重要な知見となる.
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