研究実績の概要 |
両生類の変態では,尾の退縮や四肢の形成に加え,血球や小腸の再構成が起こる。再構成時には,それまで機能していた幼生型細胞が細胞死によって除去される一方,成体型の機能を持った細胞が増殖・分化することで成体型組織を形成すると考えられている。そこで本研究では,無尾両生類であるツメガエルの変態過程において出現する成体型幹細胞の起源,および,変態過程でスイッチングする幼生型・成体型幹細胞の増殖・分化機構の解明を目的とする。初年度として,genetic lineage tracing 法による細胞の系譜を追跡する個体の作製の準備として,Cre リコンビナーゼ遺伝子や EGFP 遺伝子あるいは LacZ 遺伝子などのレポーター遺伝子を特定遺伝子座へ導入するために,CRISPR/Cas9 システムを用いたノックイン法の検討を行った。その方法として,近年開発が進んでいるマイクロホモロジー媒介末端結合(MMEJ)を利用して,標的染色体領域へ正確に遺伝子導入をすることが可能な CRIS-PITCh 法 (Nakade, S. et al 2014),および2種類のオリゴ DNA を用いた 2ヒット2オリゴ法 (Yoshimi, K. et al 2016) を用いてノックインを試みた。この際の条件検討として,Cas9 および FokI-dCas9 の導入,および Chen, B らが開発した gRNA のステムループ構造の改変(Chen, B. et al 2013) などを行い,特定の遺伝子座に EGFP を導入することができた。
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