研究実績の概要 |
両生類の変態では,尾の退縮や四肢の形成に加え,血球や小腸の再構成が起こる。再構成時には,それまで機能していた幼生型細胞が細胞死によって除去される一方,成体型の機能を持った細胞が増殖・分化することで成体型組織を形成すると考えられている。そこで本研究では,無尾両生類であるツメガエルの変態過程において出現する成体型幹細胞の起源,および変態過程でスイッチングする幼生型・成体型幹細胞の増殖・分化機構の解明を目的とする。本年度は, genetic lineage tracing 法による細胞の系譜を追跡する個体の作製のため,Cre リコンビナーゼ遺伝子を未分化血球で発現するトランスジェニックカエルの作製を行った。gata2 遺伝子の発現調節領域を同定するため, VISTA 解析により魚類および爬虫類で保存されている配列(conserved noncoding sequence) を単離した。この配列と gata2 遺伝子 5' 上流領域(-2kbp) を有するEGFP レポーター遺伝子を用いて,トランスジェニックカエルを作製した。その結果,内在性 gata2 と同様の発現パターンを示したことから,今回単離した領域が,未分化血球での発現に重要であることが考えられた。
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