研究課題
本研究は、異性からの視覚情報が雄の求愛行動を惹起に重要である雄ウズラを対象に、異性認知をした際に、求愛行動の変化を引き起こすことに関わる新しい神経機構の同定をしようとしたものである。今年度は、昨年度に引き続き(1)ノルアドレナリンによる求愛発声の抑制機構の解明と(2)雄の求愛発声を抑制して交尾行動を惹起させるための雌からの視覚情報の中の鍵刺激の同定を試みた。ウズラの雄叫びは2から3個のシラブルによって構成される。(1)に関しては、1マイクログラムのノルアドレナリンを投与した後、1時間の間にウズラが発声する求愛発声(雄叫び)の頻度、雄叫びの長さ、各シラブルの長さ、各シラブル間の長さをSound Analysis Proソフトウェアを用いて解析した。溶媒投与群と比較すると、ノルアドレナリンの脳室投与は一時間当たりの雄叫びの頻度を減少させることが明らかとなった。引き続き、雄叫び発声中枢に発現しているノルアドレナリン受容体アルファ2A型のアゴニストであるクロニジンを脳室に投与し、求愛発声の音響特性変化への効果を解析し、ノルアドレナリン投与の効果との比較を行っている。ウズラの外見には性的二型が存在し、雄は顔の羽毛が茶色で雌は白色に近い。(2)について調べるために、以下の4タイプの剥製を作成した:(I)雌の剥製の顔とタオル地の体、(II)雄の剥製の顔とタオル地の体、(III)全身タオル地、(VI)顔はタオル地で体が雌の剥製。性成熟に達した繁殖期の雄を4グループに分けて(I)~(VI)の剥製を提示したところ、(I)では交尾行動、(II)では攻撃行動、(III)逃避行動、(VI)雌の剥製に寄り添う行動(メイトガーディング?)が観察された。これらの結果により、雄の交尾行動を惹起させるには雌ウズラの顔の存在が重要であることがわかった。
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Frontiers in Endocrinology
巻: 10 ページ: 243
10.3389/fendo.2019.00243.
Sci Rep.
巻: 8 ページ: 10012
10.1038/s41598-018-28368-z.