研究課題/領域番号 |
16K18591
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
林 良信 北海道大学, 地球環境科学研究院, 学術研究員 (70626803)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | シロアリ / 社会性 / 遺伝子進化 |
研究実績の概要 |
単独性生物から社会性生物への進化は、単細胞生物から多細胞生物の進化と並ぶ生物進化の歴史上の大イベントである(Maynard-Smith and Szathmary 1995)。すなわち、社会性の進化に伴い、「個体と個体集合(社会)」という明確な階層構造(それは緊密な個体間相互作用に起因する)が生じたことで、生命現象において全く新たな複雑性が生み出された(Okasha 2011)。社会性は細菌からヒトまで様々な分類群の生物でみられるものであり、生物進化について理解を深めるためには、高次の複雑性をもつ“社会”の構成や形成過程、進化メカニズムを解明することが不可欠である。 社会性生物のなかでも、真社会性昆虫と呼ばれるシロアリやアリなどは、特に複雑で巨大な調和のとれた社会を進化させており、もっとも興味深い社会性生物の一つである(Oster & Wilson 1978)。そして、真社会性昆虫で見られる生殖に関する個体間分業(ここでは不妊個体と生殖個体の分業をいう)は、真社会性の根幹をなすものであり、一部の個体が示す“不妊化”は昆虫の社会性を理解するための鍵となる重要な現象である。 本研究では、交配実験による遺伝子連鎖解析を次世代DNAシークエンサーを用いて行い、ヤマトシロアリの不妊化を制御する遺伝子(不妊化遺伝子)を同定し、その進化過程を明らかにする。 平成28年度では、交配実験を行い、交雑第2世代(F2)の個体を多数得ることができた。F2個体の表現型の分離比(生殖系列個体と不妊系列個体の比)は、過去の研究とほぼ一致しており、計画通りに研究が進行できている。平成29年度では、F2世代の連鎖解析を行い、不妊化遺伝子の同定し、その進化過程を明らかにする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成28年度では、ヤマトシロアリの交配実験と遺伝子連鎖解析による不妊化遺伝子の同定を計画していたが、交配実験が完了するまでにとどまった。これはヤマトシロアリの生育にやや時間がかかったためである。計画よりもやや遅れてはいるが研究内容の変更をするような遅れではなく交配実験の結果も期待通りである。
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今後の研究の推進方策 |
実験の進行にやや遅れはあるものの、今後シロアリの飼育と連鎖解析を同時に行うことで遅れを解消することが十分に可能である。シロアリの飼育は時間はかかるが手間はほとんどかからないので、連鎖解析との同時並行作業は十分に可能である。そのため、計画通りに研究を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
シロアリの生育の遅れにより、実験計画に遅れが生じ、平成28年度に計画していた次世代シークエンサーを用いた実験を行うことができなかった。そのため、予定していた次世代シークエンサー使用にかかる経費を使用しなかった。以上の理由により次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
平成29年度に次世代シークエンサーを用いた実験を行い、平成28年度に生じた次年度使用額を消化する。計画にやや遅れはあるものの、実験手順の工夫によって遅れを取り戻して計画通りに研究を完了することが十分に可能であるため、平成29年度の支給額も全額使用することになる。
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