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2016 年度 実施状況報告書

円口類ヌタウナギ、ヤツメウナギ半規管の進化発生学的解析

研究課題

研究課題/領域番号 16K18594
研究機関兵庫医科大学

研究代表者

菅原 文昭  兵庫医科大学, 医学部, 講師 (00611005)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワード半規管 / ヌタウナギ / ヤツメウナギ / 円口類 / 形態進化
研究実績の概要

まずヌタウナギについて、既に作成されていた発生段階の胚の切片スライドから3Dリコンストラクションを作成し、内耳の発生の連続的な変化を観察することに成功した。その結果、ヌタウナギの単一半規管は、発生上二半規管から融合して形成されるのではなく、直接ドーナツ状の半規管が形成されることが分かった。
次に、ヌタウナギの半規管は前後に対称な形に見え、他の脊椎動物では一つしかない前庭神経節も前後に2つ存在するため、内耳の前後軸形成と神経節形成に関わる転写因子Tbx1の発現を観察したところ、その発現は他の顎口類と同じように後方に限局した発現を示した。また、今後の解析のため、8月にヌタウナギを採集し、そこから受精卵を得ることに成功している。
ヤツメウナギについては、内耳の発生、とりわけ水平半規管の発生に必須な遺伝子Otxの新規パラログをヤツメウナギで同定し、既知の3種のOtxと合わせてその内耳における発現を観察したところ、そのすべてにおいて内耳での発現が観察されなかった。これはOtx1ノックアウトマウスが水平半規管を欠くことと一致しており、極めて興味深い。また、顎口類ではOtx1の発現を制御する転写因子Six1や、その下流遺伝子の発現も現在解析中である。
また、進化の推定のためには、円口類の両系統、すなわちヌタウナギとヤツメウナギの発生を解析し、顎口類と比較することが重要である。このことを指摘した総説を書き、受理された。現在印刷中である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

ヌタウナギの胚を予想以上に得ることができた。また、既存の標本スライドからも多くの半規管の形態発生について情報を得ることができた。
ヤツメウナギの胚も順調に得られており、内耳形成に関連する遺伝子の網羅的解析に進むための有益な情報が得られている。

今後の研究の推進方策

ヌタウナギについては、初年度で得られた胚からパラフィン切片を作製し、形態の観察に使用する一方、さらなる遺伝子の発現解析も行いたい。
ヤツメウナギで得られた結果から、Otx1ノックアウトマウスが、ヤツメウナギのフェノコピーを示している可能性が示唆された。これを解析するため、Otx1ノックアウトマウスと野生型マウスの内耳に発現している遺伝子を網羅的に解析し、顎口類が水平半規管を獲得するためには、どのような発生メカニズムの改変が必要であったのかを考察したい。

次年度使用額が生じた理由

実験試薬の購入に多少の増減が生じたため。

次年度使用額の使用計画

試薬の購入に充てる。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2017 2016

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] Reconstructing the ancestral vertebrate brain2017

    • 著者名/発表者名
      Fumiaki Sugahara, Yasunori Murakami, Juan Pascual-Anaya & Shigeru Kuratani
    • 雑誌名

      Development, Growth & Differentiation

      巻: in press ページ: in press

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] On the vagal cardiac nerves, with special reference to the early evolution of the head-trunk interface.2016

    • 著者名/発表者名
      Higashiyama H, Hirasawa T, Oisi Y, Sugahara F, Hyodo S, Kanai Y, Kuratani S
    • 雑誌名

      Journal of morphology

      巻: 277 ページ: 1146-1158

    • DOI

      10.1002/jmor.20563

    • 査読あり
  • [学会発表] 円口類の比較発生学的解析から探る三半規管の進化2017

    • 著者名/発表者名
      菅原 文昭, 樋口 真之輔, 大石 康博, 高木 亙, 佐藤 昇, 倉谷 滋
    • 学会等名
      日本解剖学会年大会
    • 発表場所
      長崎大学医学部(長崎県長崎市)
    • 年月日
      2017-03-28 – 2017-03-30
  • [学会発表] Development of the inner ear in cyclostomes and its implication to the evolutionary origin of the semicircular canals2016

    • 著者名/発表者名
      Higuchi Shinnosuke, Sugahara Fumiaki, Oisi Yasuhiro, Kuratani Shigeru
    • 学会等名
      22nd International Congress of Zoology
    • 発表場所
      沖縄科学技術大学院大学(沖縄県恩納村)
    • 年月日
      2016-11-14 – 2016-11-18
    • 国際学会

URL: 

公開日: 2018-01-16  

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