研究実績の概要 |
Otx1ノックアウトマウスは水平半規管を欠くため、Otx1およびその下流の遺伝子ネットワークは、水平半規管の発生に必須である可能性が高い。そこで、マウスOtx1ノックアウトマウスを作成し、その胚から内耳を取り出しRNAを抽出した。つぎに野生型との遺伝子発現プロフィールを比較するため、マイクロアレイ解析を行った。結果は現在解析中である。 ヤツメウナギ内耳において、Otx遺伝子が発現しているかを検証するため、さまざまなステージの胚、およびアンモシーテス幼生から内耳を摘出し、RNAを抽出した。次にそれを逆転写したcDNAをテンプレートとしてリアルタイムPCRを行った。その結果、ヤツメウナギ発生後期~アンモシーテス幼生期にかけて、Otx相同遺伝子であるLjOtxA, LjOtB, LjOtxC, LjOtxDのすべての発現が認められることが分かった。この結果は、「ヤツメウナギではOtx遺伝子が内耳で発現していないから水平半規管がない」とするこれまでの仮説を覆すものであり、非常に重要な知見である。現在は詳細な発現領域を解析するために、in situハイブリダイゼーション法を行っている。 また、半規管のドーナツ状の環の形成の際、発生時にNetrin1が、耳胞の将来孔のあく領域に発現することが知られている。この遺伝子が円口類でどのように働くのか調べるため、ヤツメウナギ、ヌタウナギからNetrin1相同遺伝子をクローニングした。現在は発現領域を解析中である。
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