ボルネオ島は生物多様性ホットスポットの代表格に挙げられる豊かな生物相を有することで知られているが、その両生類相に関する研究はマレーシア領に偏っており、インドネシア領の情報はごく乏しかった。今回の調査は、インドネシア領の両生類相が決してマレーシア領のひな型ではなく、様々な系統で地域固有性が見られることを明らかにした。インドネシア領内の森林破壊は現在急速に進んでおり、固有の生物相が失われる危機に瀕している。貴重な森林がこれ以上失われることのないよう、今後も生物相調査を継続するとともに、その成果を公表し、種多様性の保全を訴えてゆく必要がある。
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