研究課題
若手研究(B)
中米沿岸に広く分布する巻貝とそれに感染する吸虫類の多様化のパターンを検討した。次世代シークエンス解析を用いて巻貝と吸虫類のゲノムDNA情報を得て、その情報を基にした分子系統樹を作成した。その結果、巻貝と吸虫類の両方に、形態からは区別のつきにくい隠蔽種が含まれていることが明らかとなった。また、吸虫類の分子系統樹を精査したところ、中米地峡の形成による地理的隔離や宿主の種分化が吸虫類の多様化に与えた影響は限定的である可能性が示唆された。より確実な議論をするためには、さらなるデータの取得が必要である。
進化生態学
何故、地球上にはこれほどまでに多様な生物がいるのであろうか?宿主と寄生虫の特殊な種間関係はこの謎を解く素晴らしい実験系である。何故なら、寄生虫は生存に必要な多くの資源を依存しているからである。本研究では、宿主である巻貝が多様化したときに、寄生虫がその変化にどのように適応するのかを遺伝学的な側面から検討した。このような研究を積み重ね、将来的に蓄積した情報を精査・統合していくことが生物多様化の謎を解くための大切なプロセスであると考える。