研究課題/領域番号 |
16K18607
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
鈴木 大 九州大学, 持続可能な社会のための決断科学センター, 助教 (90647489)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | ニホンイシガメ / 壱岐島 / 三隅川 / 野外調査 / 遺伝的多様性 |
研究実績の概要 |
ニホンイシガメ(Mauremys japonica)の遺伝的多様性の解明に向け、申請者が本研究課題に取り組む以前に得てきたサンプル地点以外の場所ならびにサンプル数が不足していた場所にて採集調査を試みた。具体的には長崎県壱岐市ならびに島根県西部の両地点にて、調査を実施したので、以下にその詳細を記す。また、研究成果の一部について、学会での発表を行った。 2016年6月に長崎県壱岐市にて調査を実施した。捕獲調査を行った4地点の内、全ての地点でクサガメ(M. reevesii)が、1地点でニホンイシガメが捕獲された。また、目視にてミシシッピアカミミガメ(Trachemys scripta elegans)も確認した。これらの内、壱岐島におけるニホンイシガメの生体の捕獲記録は約40年ぶりであった。この発見を踏まえ、得られたニホンイシガメ生体を、壱岐市立一支国博物館の「第30回特別企画展イキものがたり」にて展示した。加えて、その捕獲記録を中心に、壱岐島における淡水性カメ相の自然史をレビューした報告を作成し、現在学術誌に投稿中である。また、同年10月に、島根県で採集調査を実施した。その調査では、ニホンイシガメ9個体に加え、ニホンイシガメとクサガメの交雑に由来すると見られるものが1個体得られた。なお、当初の予定では鳥取県でも調査を実施する予定であったが、10月21日に発生した鳥取県中部地震の影響を考慮し、中止した。 また、遺伝子解析等による研究成果の一部について、The 8th World Congress of Herpetology(杭州、中国)にてポスター発表を、第55回日本爬虫両棲類学会大会にて口頭発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
代表者が2017年度より所属機関をうつることに合わせ、2016年度後期に予定していた遺伝子実験等の予定を2017年度以降の実施に延期したために、進捗がやや遅れている。 また、野外サンプリング調査に関して、2016年度秋に山陰地方での調査を予定していたが、調査予定地にて震災が発生したことを踏まえ、調査の一部を中止したことも影響した。
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今後の研究の推進方策 |
2017年度より申請者の所属機関が変わったため、新たな所属先での実験系の構築が必要になる。特に遺伝子解析に関して、研究計画当初に予定していた研究解析が出来るように、早急にその体制を築きあげたい。それに関連して、フリーザー等の実験関連備品や各種消耗品についても新たに購入することを検討する。 2017年度は遺伝子解析を中心に研究を実施する予定である。特に、入手済みのサンプルを用いて、主にマイクロサテライトによる解析を行う。これらによりまとまったデータが得られた部分から、学会や研究論文として発表準備を進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の研究計画では2016年度の春から秋にかけ野外調査を行い、その後秋から冬の間に遺伝子解析実験等の室内での作業を予定していた。しかし、代表者が2017年度より所属機関が変更になることが2016年後期に決まった。そこで、予定していた室内実験を2016年度の所属機関先ではなく、翌年度に新たな機関で実施した方が円滑な研究計画の実施に適していると判断し、遺伝子解析等の実験を控えたため、次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
当初の計画で2016年度に実施を予定していたDNA実験等を2017年度の予定分と合わせて実施する。特に、マイクロサテライトによる解析を中心に計画している。また、実験関連備品や各種消耗品についても新たに購入することを検討する。 前年度に震災の影響で調査を中止した鳥取県や、入手済みのサンプルの数が多地点に比べ比較的少ない四国を中心に野外調査を計画している。
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