本研究の目的は、イチジクとその送粉者であるイチジクコバチ、イチジクの花嚢(果実)内に存在する線虫、細菌について、共進化の過程を明らかにすることである。これまでに、線虫の遺伝的多様性とイチジク花嚢内の細菌叢の解析を行った。その結果、線虫は遺伝的に2つのグループに分かれており、これは地理的要因と合致していた。また、イチジク花嚢内に存在する細菌の一部はイチジクコバチにより花嚢から花嚢へと運ばれており、さらにその細菌の一部は線虫の増殖に影響を与えることが明らかとなった。これらのことから、イチジクとイチジクコバチおよび線虫は、地理的要因と細菌により進化に影響を受けていることが示唆された。
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