研究課題/領域番号 |
16K18619
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
辻 大和 京都大学, 霊長類研究所, 助教 (70533595)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 種子散布 / 霊長類 / DNA |
研究実績の概要 |
平成28年度は、以下の3項目を実施した。 A. 果実食者の採食量の評価:インドネシア・ジャワ島西部のパガンダラン自然保護区で2回(2016年8-9月、2017年2月)の野外調査を行った。調査地に自生する5樹種について、モニタリング木を設定した。 B. 飲み込みによる種子の破壊率:霊長類2種(カニクイザル、ジャワルトン)について、数日間の直接行動観察を行った。排泄や吐き出しなど、種子の散布行動を記録した場合、その場所を記録するとともに、糞の内容物や吐き出した種子内容物を分析し、飲み込みによる種子の破壊率を評価した。 C.散布場所の特徴:霊長類の行動観察の際に糞の排泄や吐き出しがみられた場所を「散布場所」と定義した。霊長類以外の果実食者についてはルートセンサスを行い、糞を採集した場所を散布場所とした。次いで、各散布場所に1メートル四方のコドラートを設置し、開空度・植生を調べた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成28年度は、パガンダラン自然保護区で2回の野外調査を実施した。調査地に自生する5樹種をモニタリング木として設定し、これらの木の下に落ちている果実片(= 食べ残し)に付いた唾液から、DNAを抽出した。今後、ボゴール農科大学でmt-DNAのCO1領域の塩基配列を調べ、種同定のためのPCR-RFLPを設計する予定である。果実を採食した採食者を種同定し、果実食者のネットワークを明らかにする。 並行して、霊長類2種(カニクイザル、ジャワルトン)を対象に、数日間の直接行動観察を行った。排泄・吐き出しなど種子の散布行動を記録したら、その場所を記録した。並行して、糞の内容物や吐き出した種子内容物を記録したので、今後このデータを分析して、飲み込みによる種子の破壊率を調べる。 平成28年度に予定していた計画のうち、動物園での給餌実験は、交渉に時間がかかったため実現できなかった。また、発芽率の評価についても動物園の実験を踏まえて行う項目のため実施できなかった。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度の調査内容を継続する。とくに、給餌実験と発芽実験については重点的に取り組み、成果を出すよう努力する。
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