本研究によって、初めて古墳時代人骨のミトコンドリアゲノム・核ゲノム分析に成功し、弥生時代以降の長い遺伝的空白を埋めるデータを取得した。それにより、縄文時代から古墳時代にかけて列島内で縄文系統と渡来系系統がどのように混血したのか、その遺伝的変遷をたどる上で重要な結果である。 また本研究は、日本の古代人において、文献資料の無い個体同士の血縁関係が明確に判定された初の例となる。血縁推定は、過去の埋葬形態ひいては当時の社会構造を理解する上での重要な指標である。今回、2つの埋葬墓について親族構造を構築し、同一埋葬墓に埋葬された個体間は親族関係にあることが直接的に示された。
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