研究課題
最終年度は、当初の研究計画を一部変更し、当初の研究計画に記載した変異体に加え、異なる単為結果性を示す新たな単為結果性変異体を研究材料として追加することとした。当該単為結果性変異体の原因遺伝子は明らかとなっていなかったため、その原因遺伝子を同定するため、次世代シークエンス解析により、候補遺伝子領域のマッピングを実施した。さらに原因遺伝子候補の絞り込みを行い、原因遺伝子を同定した。戻し交配を行い、変異形質と当該遺伝子変異が連鎖していることを確認した。CRISPR/Cas9によりアリル系統を作出し、同定した原因遺伝子が単為結果性を誘導することを確認した。以上の結果より、同定した遺伝子が新規の単為結果性遺伝子であることが明らかとなった。研究期間全体の成果としては、Slchs1/Slchs2の二十変異体の表現型解析により、植物内のフラボノイド蓄積とオーキシン輸送の関連が示唆されたが、単為結果果実形成との明関係を明確にすることはできなかった。一方で、栄養器官の発達については、先行研究の遺伝子発現抑制個体と変異体間で違いが見られることから、フラボノイド欠損の結果生じた栄養器官における発達の違いが着果の効率に影響していると考えられた。今後の展開として、果実の着果・発達において、雌蕊で起こる受粉・受精過程は、植物が後代に子孫を残すための重要なイベントと位置付けられることから、本研究課題で同定した新規遺伝子の解析を継続するとともに、当該変異体においてRNA-seq等を活用した網羅的な制御ネットワークの解析を実施することで、果実着果の分子機構の理解につながるものと期待される。
すべて 2019
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Plant and Cell Physiology
巻: 60 ページ: 38-51
https://doi.org/10.1093/pcp/pcy184