研究実績の概要 |
本研究では麦類の小花発達機構を解明するためintermedium変異体の原因遺伝子の特定を行なう. 二倍体オオムギならではのユニークな突然変異体と次世代シーケンサーを活用した効率的なジェノタイピングによって今まで以上に迅速に順遺伝学的解析を進める. また, int遺伝子とvrs1遺伝子の組み合わせによる収量性への影響を検証する. さらに, オオムギで同定した遺伝子情報を利用してコムギ相同遺伝子を単離し, TILLING法, ゲノム編集などの逆遺伝学的手法を駆使してコムギでの機能を明らかにする. 平成28年度はintermedium-s.1変異体 (int-s.1) とオリジナル系統 (OUH602) を交配して作製したF2集団 (int-s1 × OUH602) とint-s.1と六条vrs1欠失変異体hex-v.3を交配して作製したF2集団 (int-s.1 × hex-v.3) の表現型解析を行った. 前者では期待通り, 表現型が野生型 : 変異型 = 3 : 1に分離したことからint-s.1は劣性単一因子によって制御されることが明らかになった. 予想に反して, 後者の集団も分離比が野生型 : 変異型 = 3 : 1 (57 : 19) に適合した. int-s.1とvrs1が独立の関係にある場合, 分離比は9 : 7に近くなり, 強連鎖の場合, 1 : 1に近くなることが期待されたが観察値はいずれにも適合しなかった. PCRマーカーを利用して各個体のVrs1遺伝子型を決定したところ, 側列小花が稔実した19個体のうち5個体 (26%) はVrs1を保有し, 14個体 (74%) はVrs1を欠失していることがわかった.
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今後の研究の推進方策 |
新たに作製したF2集団 (int-s.1 × DZ29)を用いたint-s.1遺伝子のマッピングを進める. また, vrs1/int-s.1二重変異体を選抜し, 穀粒サイズ, 粒重, 草丈, 分げつ数などの表現型調査を行う.
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