研究課題/領域番号 |
16K18638
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研究機関 | 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
遠藤 みのり (飛川みのり) 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 九州沖縄農業研究センター, 研究員 (90614652)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | イチゴ / 炭疽病 / RAD-Seq |
研究実績の概要 |
28年度に続き、Colletotrichum siamense抵抗性イチゴ品種「恋みのり」と罹病性品種「さちのか」のF1集団を養成した。本集団にC. siamense GC-7s(MAFF744106)を接種し、抵抗性(病斑数、葉柄発病度、枯死の有無)の表現型を調査した。その結果、抵抗性は連続的に分布し、本菌への抵抗性がポリジーンに支配される量的形質であることが示唆された。さらに、F1集団の各個体からDNAを抽出し、次世代シーケンサーを用いたRAD-Seq解析を行った。しかしながら、RAD-Seq解析に想定以上の時間がかかり、最終的な解析は30年4月に持ち越しとなった。このため、RAD-Seq解析結果と表現型との連鎖解析および抵抗性連鎖マーカーの作成は30年度に行うこととした。 また、Colletotrichum属の種の再分類に伴い、本属のイチゴへの病原性について知見が不足している。そこで、C. siamenseおよびC. fructicola各5菌株を「恋みのり」および対照品種に接種し、発病程度を調査した。その結果、「恋みのり」は全てのC. siamense菌株に抵抗性であったが、C. fructicolaの一部に罹病性を示すことが明らかになった。イチゴにおいてこのようなColletotrichum属の種による抵抗性の差異が認められたのは初めての事であり、本結果は、本研究の前提となる重要な基礎的知見の一つであると認識している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
29年度に終了する予定であったRAD-Seq解析が想定より1か月程度遅れた。遅れた原因は、解析委託先の繁忙によるものである。 また、RAD-Seq解析結果の情報解析を行うため、先進ゲノム支援(先進ゲノム解析研究推進プラットフォーム)に申請し、情報解析への協力者を確保した。この手続きおよび打ち合わせ等に数カ月程度を要した。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題について、30年度までの繰越申請を行った。遅延していたRAD-Seq解析は4月初旬に完了した。現在、29~30年度にかけて行った病原菌の接種試験結果にもとづく形質評価データとの連鎖解析およびQTLの探索等、情報解析を進めている。情報解析にあたっては、30年度に採択された科研費先進ゲノム支援(協力先:九州大学)も活用する。30年度末までに本解析を完了し、炭疽病抵抗性マーカーの作成を急ぐ。また、研究結果の総括を行い、論文投稿等の準備を開始する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していたRAD-Seq解析(外注)が29年度内に終了せず、30年4月に納品となった。このため、解析費用の支払いを30年度に行う必要が生じ、次年度使用額が発生した。
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