弘前大学藤崎農場で育成した新奇斑点状生理障害の発生するタイプ2の赤果肉リンゴ品種’紅の夢’を対象に、簡易発生防止法の確立に向け実験を行った。 今年度も昨年度に引き続きは秋季の気象条件が比較的低温で推移したためか、斑点状障害の発生が全体的にかなり少なく、生産環境としては好条件であったが、実験環境としてはかなり厳しいものがあった。 昨年度から行ってきた、1重袋による有袋栽培に比べさらなる労力の削減を図るための熱ストレス耐性を付与する資材の散布では、昨年度は6月処理で無処理に比べて有意に斑点状障害の発生を抑制する効果が見られたが、今年度は処理時期、処理回数にかかわらず、斑点障害の発生を軽減する効果は見られなかった。また、熱ストレス耐性を付与する資材から、有効成分のみを抽出し、散布する実験も行ったが、こちらも、対照区に比べて斑点状障害の発生を抑制する効果は見られなかった。また、いずれの処理も、果実重、硬度、糖度、酸度、果皮色、果肉色などに変化を及ぼさなかった。このように、熱ストレス耐性を付与する資材の散布の効果は使用年の気象状況の影響を受け一定しないことから、障害多発年に再度効果の検証を行う必要があるものと考えられた。 一方で、障害発生部位の組織学的研究では障害発生と通道組織の乾燥ストレスの間に何らかの関係のあることが示唆された。本研究計画終了後も、この方面での研究を進め、障害発生メカニズムから発生を防止する実用技術の開発を進める予定である。
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