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2017 年度 実施状況報告書

植物ウイルス/ウイロイドを標的とするケミカルバイオロジー:化学農薬の開発に向けて

研究課題

研究課題/領域番号 16K18660
研究機関東京大学

研究代表者

岡野 夕香里  東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 特別研究員 (90734872)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワードポテックスウイルス
研究実績の概要

本年度は、実験により適した植物ウイルスの検討をおこなった。ユリXウイルス(lily virus X; LVX)はアルファフレキシウイルス科ポテックスウイルス属に分類されるひも状のウイルスで、ゲノムとしては一本鎖RNAを有している。LVXは世界各地でユリへの感染が報告されており、日本での検出報告があるが、その全ゲノム配列は不明であった。そこで日本のユリからRNAを抽出し、それを鋳型に逆転写反応を行ってcDNAライブラリーを合成し、次世代シーケンサーにより網羅的配列解析をおこなった。解読されたリードについてde novoアセンブリを行い、得られたコンティグについてBLASTn検索を行ったところ、LVXが高い相同性でヒットした。このウイルスについて5′ RACEおよび3′ RACE解析を行い当該分離株の全ゲノム配列を決定した(当該分離株をLVX-Jとした)。LVX-Jのゲノムは3′末端のpolyAを除いて全長5824塩基であった。ゲノム上のOpen reading frame(ORF)の存在予測を行ったところ、ポテックスウイルス属ウイルスに共通する5つのORFのうち、複製酵素(RdRp)、移行タンパク質(TGBp1、TGBp2)および外被タンパク質(CP)のORFは予測されたが、移行タンパク質の一つであるTGBp3に該当する領域には通常開始コドンとなるAUGのコドンが存在しなかった。各ORFについてオランダから分離されている既報のLVX分離株と比較したところ、RdRp、TGBp1、TGBp2、TGBp3、CPの塩基配列の同一性はそれぞれ99.4%、98.8%、99.7%、99.6%、99.3%であり、アミノ酸配列の同一性は99.3%、98.6%、99.1%、97.4%、99.0%と非常に高かった。このことから、遺伝的に非常に近縁なLVXが世界中に蔓延している可能性が示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

系の検討を重ねており、効率的なウイルス抑制化合物の同定には至っていないため。

今後の研究の推進方策

ウイロイドに関するスクリーニングは行わないこととし、ウイルスにおけるスクリーニングを集中的に行う。

次年度使用額が生じた理由

次年度はウイルス増殖・定量系を用いて多くの化合物を使用する予定であるため。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2018

すべて 雑誌論文 (1件) (うちオープンアクセス 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Complete Genome Sequence of a Lily virus X Isolate from Japan2018

    • 著者名/発表者名
      Nijo Takamichi、Okano Yukari、Kondo Masayoshi、Okuhara Hiroaki、Sekimura Hiroyo、Fujimoto Yuji、Hosoe Naoi、Maejima Kensaku、Yamaji Yasuyuki、Namba Shigetou
    • 雑誌名

      Genome Announcements

      巻: 6 ページ: e01462~17

    • DOI

      10.1128/genomeA.01462-17

    • オープンアクセス
  • [学会発表] 国内のユリから検出されたユリXウイルスの全ゲノム解析2018

    • 著者名/発表者名
      藤本祐司・二條貴通・岡野夕香里・近藤正剛・奥原宏明・細江尚唯・橋本将典・前島健作・山次康幸・難波成任
    • 学会等名
      平成30年度日本植物病理学会大会

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公開日: 2018-12-17  

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