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2016 年度 実施状況報告書

糸状菌胞子における休眠メカニズムの分子基盤解析

研究課題

研究課題/領域番号 16K18672
研究機関千葉大学

研究代表者

萩原 大祐  千葉大学, 真菌医学研究センター, 特任助教 (20612203)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワード休眠胞子 / トランスクリプトーム解析 / ストレス耐性機構 / 胞子発芽
研究実績の概要

1)RNA-sequencing法による糸状菌の休眠胞子特異的転写物の網羅的解析
一般に糸状菌の分生子(無性胞子)は、環境中での生存に適したストレス耐性の高い細胞である。特に乾燥や温度ストレスなどに耐久性を示すと考えられている。本課題では、休眠胞子におけるこのようなストレス耐性機構を解明することを目標の一つに設定している。本年は、休眠胞子に特異的なファクターを探索することを目的として、複数のAspergillus属菌(A. fumigatus、A. oryzae、A. niger)を対象に、RNA-sequencing解析を行った。その結果、菌糸体に比べて休眠胞子において高い転写レベルを示す遺伝子が、それぞれ687、694、812個見つかった。また、培地を添加して1h後の発芽誘導胞子との比較では、766、1,241、749遺伝子が発現が上昇することが明らかとなった。各菌種間で比較して、相同因子を抽出すると、91遺伝子が菌糸に比して休眠胞子で高発現し、391遺伝子が発芽誘導胞子で高い発現値を示していた。休眠胞子特異的因子にはcatalase遺伝子が含まれており、発芽誘導胞子に特異的因子の内にはリボソーム合成関連因子やCalA-family遺伝子が含まれていた。このCalA-family proteinは、構造的にthaumatin-likeドメインを有しているが機能は未知である。しかし、A. nidulansでは破壊株が取得できず必須遺伝子と推測されていることや、いずれの菌種においても発芽ステージ初期において発現が劇的に上昇することなどから、糸状菌の胞子発芽プロセスにおいて重要な機能を有していると考えられた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

課題開始よりも前から十分な準備ができていたことから、休眠胞子における遺伝子転写物の全体像を明らかにするためのトランスクリプトーム解析がスムーズに進行した。得られた結果について、順調に研究発表および論文執筆などの成果創出に結びつけることができた。

今後の研究の推進方策

休眠胞子における転写物の全体像を把握することができ、休眠から発芽ステージへ進むタイミングで重要な機能を有すると考えられる因子の発見に至った。これらの機能解析を今後の解析対象として含めて課題を推進していく予定である。また、解析の課程で明らかになったこととして、胞子を形成する環境条件が、休眠胞子の発芽率に寄与するデータも得られており、今後併せて解析を進めたい。

次年度使用額が生じた理由

前年度に参加を予定していた国際学会に、日程上の都合で参加することが難しくスキップしたために、予定よりも旅費が少なく計上された。

次年度使用額の使用計画

前年度、国際学会での研究成果を発表することができなかったため、代わりに他の学会へ参加し、成果発表をする予定でいる。そのための旅費として使用する予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2016

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件)

  • [雑誌論文] Comparative transcriptome analysis revealing dormant conidia and germination associated genes in Aspergillus species: an essential role for AtfA in conidial dormancy2016

    • 著者名/発表者名
      Hagiwara D, Takahashi H, Kusuya Y, Kawamoto S, Kamei K, Gonoi T
    • 雑誌名

      BMC Genomics

      巻: 17 ページ: 358

    • DOI

      10.1186/s12864-016-2689-z

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり

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公開日: 2018-01-16  

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