放線菌における多くの二次代謝生合成遺伝子の発現は、通常培養条件下では未活性であり、未利用遺伝子資源のままである。本研究では、①放線菌コレクションを用い、培養条件下による二次代謝産物生合成の休眠遺伝子発現活性化の解析、②放線菌二次代謝を活性化する培養条件・培地成分を同定し、二次代謝産物産生のための効率的な培養方法の確立を目指す。2016年度に、培養条件による二次代謝産物生合成遺伝子の発現活性化を示す放線菌の株を同定した。しかし、この株が産生している新規候補化合物の生産性が低かったため、構造決定できなかった。2017年度は、大量生産される培養条件を検討し、構造解析のための十分な量を得た。次に、次世代シーケンサーによりドラフトゲノム解析を行い、候補の関連遺伝子群を同定し、このデータを用い、構造解析を行った。または、発現活性化に影響を表す培養条件・培地成分の検討を進めた。各成分を除く培養を行い、目的化合物に影響があるか、解析した。結果として、生産に正影響がある成分を同定した。 本年度は、遺伝子が発現活性化をする培地成分の解析及び活性化メカニズム解析を続けた。主正影響成分と他の成分の組み合わせを解析し、細菌の増殖及び天然物生産解析を行った。結果として、補助成分を同定した。また、活性化機能を解明するために、各培養条件下でmRNA抽出を行い、遺伝子発現解析を行った。各培養条件に目的遺伝子の発現が異なると分かった。今後の研究では、詳しい発現解析を行って、活性化メカニズムを解明することを期待する。又、培養実験により得たデータを他の放線菌株の培養に応用する予定がある。
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